道路工事の設計書を見ていると、
「再生密粒度アスコン(20)」
「再粒度アスコン(13)」
「プライムコート」
「タックコート」
など、初めて見る言葉が次々と出てきます。
この記事では、一般的なアスファルトの舗装を例に、
- アスファルトって何でできてるの?
- 設計書に出てくる「密粒度」「粗粒度」「20」「13」「再生」って何なの?
- 舗装の厚さはどうやって決めるの?
- プライムコートとタックコートって何なの?何のためにあるの?
を順番に説明していきます。
※実際の舗装構成や使用材料は、道路の条件や設計基準、発注機関などによって異なります。この記事では、アスファルト舗装の基本的な考え方を解説します。
アスファルトとは?黒い部分は何でできている?
道路の黒い部分を見ると、「これがよく聞くアスファルトなんだな」と思うかもしれません。
ただ、道路に敷かれている黒いもの全部が「アスファルト」という一つの材料でできているわけではありません。
道路の表面などに使われているのは、主に**アスファルト混合物(アスファルト合材)**です。
アスファルト混合物とは、大まかにいうと、
砕石や砂などの骨材+石粉+アスファルトを混ぜたものです。
アスファルトとは、原油を精製する過程で得られる黒くて粘りのある材料で、骨材同士を結び付ける役割をします。
イメージとしては、「石や砂をアスファルトでまとめたもの」が、普段道路で見ている黒い舗装です。
工事現場では「アスファルトを舗設する」「アスコンを敷く」などと言うことがありますが、実際に舗設しているのは、このアスファルト混合物です。
道路の下はどうなっている?
アスファルト舗装は、黒い部分だけでできているわけではありません。
一般的な構成を上から見ると、次のようになります。
表層→基層→上層路盤→下層路盤→路床

表層は、車のタイヤが直接接する一番上の層です。
その下に基層が設けられる場合があり、さらにその下には砕石などでつくられる路盤があります。
そして、舗装全体を下から支えている地盤が路床です。
すべての道路が必ずこの5層になっているわけではありません。
道路の交通条件や路床の状態などに応じて、必要な舗装構成が設計されます。
ここではまず、
「道路は黒いアスファルトだけではなく、その下の路盤や路床まで含めて支えられている」
とイメージしておけばOKです。
どんな種類のアスファルト混合物があるの?

設計書に『再生密粒度アスコン(20)』って書いてあるんですけど……長すぎません? なんですかこれ?

『再生』『密粒度』『アスコン』『20』。それぞれにちゃんと意味があるんだ。
設計書を見ると、再生密粒度アスコン(20)のような、暗号のような名前が出てくることがあります。
でも、名前を分解するとそれほど難しくありません。
たとえば「再生密粒度アスコン(20)」なら、
再生|密粒度|アスコン|20と分けて考えてみましょう。
密粒度アスコンとは?
密粒度アスコンは、粗い骨材から細かい骨材までを組み合わせ、全体が密に詰まるような粒度にしたアスファルト混合物です。
一般的なアスファルト舗装では、車が直接走る表層によく使われます。
表層は舗装の一番上にあるため、車の荷重を受けるだけでなく、雨やタイヤによる摩耗などにもさらされます。
そのため、表層には主に、
- 車が安全・快適に走れる路面をつくる
- 雨水が舗装内部へ入りにくくする
- 交通による摩耗や変形などに耐える
- 下にある基層や路盤を保護する
といった役割があります。
密粒度アスコンは、細かな骨材まで含めて密な構造をつくるため、一般的な舗装の表層に必要となる水密性や耐久性などを確保しやすい混合物です。
粗粒度アスコンとは?
粗粒度アスコンは、粗い骨材の割合を比較的多くした粒度のアスファルト混合物です。
一般的なアスファルト舗装では、表層の下にある基層によく使われます。
主に、
- 表層を下から支える
- 表層から受けた交通荷重を路盤へ分散して伝える
- 舗装を構造的に支える
といった役割があります。
粗粒度アスコンは、こうした基層に必要となる安定性などを確保するように配合されたアスファルト混合物です。
「粗粒度」という名前から、大きな石だけでできているように感じるかもしれませんが、そうではありません。粗粒度アスコンにも、大きな骨材だけでなく、さまざまな大きさの骨材や石粉、アスファルトなどが使用されています。
アスファルトの配合量が少ない配合となることもあり、密粒度アスコンより材料単価が安くなる場合があります。
(20)や(13)は何の数字?
密粒度アスコンには、
密粒度アスコン(20)
密粒度アスコン(13)
などがあります。
この「20」「13」は舗装の厚さではなく、使用する骨材の最大粒径を表しています。
では、20mmと13mmをどう使い分けるのでしょうか。
一つ関係するのが、アスファルト混合物を何cmの厚さで施工するかです。
国土交通省の土木工事共通仕様書では、標準的な仕上がり厚として、
| 種類 | 最大粒径 | 仕上がり厚 |
|---|---|---|
| 密粒度アスコン(20) | 20mm | 4~6cm |
| 密粒度アスコン(13) | 13mm | 3~5cm |
とされています。
実際の設計書では、車道の表層で(20)を5cm程度、比較的薄い舗装となる歩道などで(13)を3~4cm程度で使用する例がよく見られます。
(20)と(13)の使い分けには、アスファルト混合物を施工する厚さが関係しています。
では、なぜ舗装の厚さと骨材の大きさが関係するのでしょうか。
極端な例ですが、最大粒径20mmの骨材を使ったアスファルト混合物を、厚さ20mmで均一に敷きならし、しっかり締め固めるのは難しいことがイメージできると思います。
アスファルト混合物を適切に敷きならして締め固めるためには、使用する骨材の大きさに応じた施工厚が必要です。
そのため、施工厚が厚い場合には(20)、比較的薄い場合には(13)というように、施工厚に応じて骨材の最大粒径を使い分けます。
「再生」って何?
「再生密粒度アスコン」の再生とは、古いアスファルト舗装から回収した材料を、新しいアスファルト混合物の材料として再利用することです。
道路を補修するときには、古くなったアスファルト舗装を削ったり、取り壊したりします。
この古い舗装を細かく砕くと、石などの骨材に、古いアスファルトが付着した材料ができます。
これを「アスファルトコンクリート再生骨材」といいます。
ここで、「古いアスファルトがどれだけ付いているか分からないのに、そのまま新しいアスコンに混ぜて大丈夫なの?」と思うかもしれません。
もちろん、古い舗装を砕いてそのまま適当に混ぜるわけではありません。
再生骨材には古いアスファルトが含まれているため、どれくらいのアスファルトが含まれているのか、どんな大きさの骨材が入っているのかなどを調べます。
その結果をもとに、
「新しい骨材をこれくらい足そう」
「新しいアスファルトはこれくらい必要だな」
と調整して、必要な品質になるように配合します。
また、古いアスファルトは長い間道路として使われるうちに硬くなっているため、必要に応じて性質を調整する材料を加えることもあります。
つまり再生アスコンは、
古い舗装をそのまま使い回しているのではなく、一度材料の状態を調べて、新しい材料などを加えながら、もう一度アスファルト混合物としてつくり直したもの
と考えると分かりやすいでしょう。
アスファルト舗装の厚さってどうやって決まってるの?
道路を見ると、「表層は5cmくらいにしておけばいいの?」と思うかもしれません。
舗装の構成は、すべての道路で同じではありません。
大きく関係するのが、
その道路をどれくらいの車が通るのか、特に大型車がどれくらい通るのか
そして、
その下の路床がどれくらいの支持力を持っているのかです。
大型車は舗装に与える影響が大きいため、舗装を設計するときには、交通量だけでなく大型車の交通量も重要になります。
もう一つ重要なのが路床です。
同じような交通条件でも、舗装を支える地盤が強い場合と弱い場合では、必要となる舗装構成が変わります。
そこで登場するのがCBRです。
CBRは、路床や路盤材料の支持力を評価するために使われる指標です。
舗装設計では路床の設計CBRなどをもとに、必要な舗装構成を検討します。
実際に国土交通省の設計資料を見ると、同じ交通区分でも設計CBRによって標準的な舗装構成が異なる例が示されています。
たとえば、路床の支持力が小さければ、より厚い路盤が必要になる場合があります。
CBRについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 関連記事:CBRとは?室内CBR・現場CBR・設計CBRの違いを初心者向けに解説
プライムコートとタックコートって何?
舗装工事では、プライムコートとタックコートという言葉が出てきます。

コートって何です?寒いんですか?

プライムコートとタックコートは、舗装工事でアスファルト乳剤などを散布する処理のことだよ
アスファルト乳剤とは?
アスファルト乳剤は、イメージとしては**舗装工事で使う「液体状のアスファルト」**です。
アスファルトはそのままでは粘りが強く、薄く均一に散布するのが難しいため、水とアスファルトを乳化剤を使って散布しやすい状態にしています。
アスファルト + 水 + 乳化剤 = アスファルト乳剤
アスファルト乳剤を道路に散布すると、その後水分が抜けることで、アスファルト分が残ります。
そのアスファルト分が舗装の層同士を接着剤のようにくっつけたり(タックコート)、路盤表面に浸透し、路盤と舗装面の馴染みをよくするような(プライムコート)働きをしてくれます。
プライムコートとタックコートの違い
名前が似ているので最初は覚えるのに苦労しますが、プライムコートは
| プライムコート | タックコート | |
|---|---|---|
| 主な施工位置 | 路盤とアスファルト混合物の間 | アスファルト混合物などの層間 |
| 主な目的 | 路盤表面部への浸透、上層とのなじみをよくするなど | 上下の層を付着させる |
| 代表的な乳剤 | PK-3 | PK-4 |

※使用する材料や施工量などは設計図書や適用する仕様書を確認してください。
関連記事
アスファルト舗装の厚さを決めるときには、交通量だけでなく、舗装を下から支える路床の強さも重要になります。
路床の強さを表す「CBR」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:CBRとは?室内CBR・現場CBR・設計CBRの違いを初心者向けに解説
https://kensetsu-shigoto.com/cbr-test/
また、舗装工事では、路盤や路床が適切に締め固められているかを確認するための品質管理も行われます。
関連記事:道路土工の品質管理試験とは?必須の試験を初心者向けに解説
https://kensetsu-shigoto.com/road-earthwork-quality-control/
参考・出典
国土交通省|土木工事共通仕様書(案) 第3編 第2章 第6節 一般舗装工
アスファルト舗装に使用する材料、アスファルト混合物、再生骨材、プライムコート・タックコートなどについて参考にしています。
国土交通省「一般舗装工」
国土交通省|土木工事共通仕様書・施工管理基準等
国土交通省の最新の土木工事共通仕様書(案)や施工管理基準を確認できる公式ページです。今回の記事では令和8年3月版を確認しています。
国土交通省「土木工事共通仕様書・施工管理基準等」
国土交通省 中部地方整備局|道路設計要領
舗装構成、交通条件、設計CBRと舗装設計の関係などを確認する際に参考にしています。なお、この要領は中部地方整備局の直轄道路を対象とした資料なので、全国一律の基準としてではなく、舗装設計の考え方を確認する資料として扱います。
中部地方整備局「道路設計要領」



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