建設現場で、ドローンが「ブーン」と飛んでいる。
初めて見ると、
「上から工事現場の写真でも撮っているのかな?」
と思うかもしれません。
もちろん、それもドローンの仕事です。
でも、建設・土木では写真を撮るだけではありません。
例えば、ドローンを使って地面の高さや形を測ることができます。
さらに、測ったデータを使えば、
- 工事現場の地形を立体的に見る
- 掘った土や盛った土の量を計算する
- 工事でつくったものが、設計どおりの形になっているか確認する
といったこともできます。
大雨や地震などの災害時には、人がすぐに近づけない場所を上空から確認することもあります。
こうして見ると、ドローンは単なる**「空飛ぶカメラ」**ではありません。
現場を見る。測る。そして、現場の形をデータにする。
建設・土木では、そんな道具として使われています。
では、そのデータを使って何ができるのでしょうか。
この記事では、まず**「建設現場でドローンは何をしているの?」**という疑問から始めて、ドローン測量や3次元データ、出来形管理、ICT施工へどうつながっていくのかを順番に見ていきます。
建設・土木でドローンは何に使う?
建設・土木でのドローン活用は、大きく分けると次のようなものがあります。
- 現場全体を上空から撮影する
- 工事の進み具合を記録する
- 人が近づきにくい場所を確認する
- 災害現場の状況を把握する
- 上空から測量する
- 3次元データを取得する
- 取得したデータを出来形管理などに使う
国土交通省でも、建設施工分野の施策として「ドローンの活用・推進」が位置づけられています。
それぞれ、どんな使い方なのか見てみましょう。
現場全体を上空から撮影する
ドローンの分かりやすい使い方が上空からの現場撮影です。
道路工事や造成工事などの広い現場では、地上から写真を撮るだけでは工事全体の状況が分かりにくいことがあります。
上空から撮影すれば、
「道路がどこまでできたか」
「盛土がどこまで進んだか」
「現場全体がどう変化したか」
といった状況を確認しやすくなります。
工事前、施工中、完成後と定期的に撮影しておけば、工事の進み具合を記録することもできます。
人が近づきにくい場所を確認する
ドローンは、人が簡単には近づけない場所の確認にも向いています。
例えば、高い法面や急斜面などです。
人が直接近づいて確認することが難しい場所でも、ドローンなら離れた場所から撮影できます。
災害現場の状況を把握する
土木分野では、災害時にもドローンが活用されています。
例えば、
- 道路が崩れて近づけない
- 山の斜面が崩壊している
- 河川や砂防施設の状況を確認したい
といった場面です。
災害直後は、被害を確認したくても現地へ安全に近づけないことがあります。
ドローンを飛ばして上空から撮影すれば、離れた場所から被災状況を確認できます。
自治体の土木職員にとっても、ドローンは災害時の状況把握に活用できる道具の一つです。

写真を撮るだけじゃない|ドローンで測量できる
建設・土木でドローンが注目される理由の一つが、測量に利用できることです。
従来の測量では、現場で測量機器を使って一つひとつ位置や高さを測る方法があります。
一方、ドローンを利用した測量では、上空を飛行しながら地面を撮影・計測します。
例えば写真を利用する方法では、上空から撮影した多数の写真を解析することで、地形を3次元的に表すことができます。
また、ドローンを使った測量は、建設現場だけで独自に行われているものではありません。
国土地理院が定める測量のルールにも、ドローンを使って地形などを測る方法が示されています。
写真を使って測る方法だけでなく、レーザーを使って地面の形を測る方法もあります。
この記事では、まず「ドローンを使って測量できる」と分かれば十分です。
ドローンで取得したデータは「点群」につながる
ドローン測量を調べていると、よく出てくるのが**「点群データ」**という言葉です。
点群データとは、簡単にいえば、
地面や構造物の形を、大量の点の集まりで表した3次元データ
です。
一つひとつの点が位置や高さなどの情報を持っていて、それらを大量に集めることで地形や構造物の形を3次元的に表現できます。
このデータを利用すると、
- 現場の地形を3次元で確認する
- 施工前後の形状を比較する
- 土の量を計算する
- 出来形管理に利用する
といったことができます。
3次元データは出来形管理にも使われる
道路や盛土などを施工したら、**「設計どおりの形にできているか」**を確認します。
これが出来形管理です。
例えば、道路の幅や高さ、盛土の形などを測って、設計図と合っているか確認します。
こうした出来形管理にも、ドローンで取得した3次元データを利用できます。
ドローンで施工した場所を上空から計測すると、現場の形を3次元データとして記録できます。そのデータを設計データと比べることで、施工した範囲の形や高さなどを確認できます。
なお、3次元データを取得する方法はドローンだけではありません。工事によっては、地上からレーザーで計測する機器なども使われます。
ドローンは、出来形を確認するために現場の形をデータとして取得する方法の一つです。
ドローンはICT施工の入口にもなる
ドローンについて調べていると、次に出てくるのが**「ICT施工」**です。
ICTとは、パソコンやインターネット、デジタルデータなどの情報技術を仕事に活用することです。
例えば、ドローンなどで現場の形を測り、そのデータを使って建設機械を動かしたり、施工後の形を確認したりします。
建設・土木では、これらの技術を使って、測量や施工、施工後の確認などを効率よく行う取り組みが進められています。
これがICT施工です。
国土交通省ではICTの全面的な活用を進めており、土工をはじめ、さまざまな工種についてICT活用工事の実施要領が定められています。
初心者の段階では、まず次の流れをイメージすると分かりやすいでしょう。
現場をドローンなどで計測する
↓
3次元データを作る
↓
現場の地形や施工状況をデータで把握する
↓
施工や出来形管理などに利用する
現場の形をデジタルデータとして取得する手段の一つとして、ICT施工とつながっています。
国土交通省が示す建設業のICT活用事例でも、ドローンのほか、3Dレーザースキャナなど複数の技術が扱われています。
自治体でもドローンを使う機会がある
ドローンというと、建設会社や測量会社が使うものというイメージがあるかもしれません。
しかし、自治体でもドローンを活用する場面があります。
特に分かりやすいのが災害対応です。
大雨や地震などによって、
- 道路が崩壊した
- 河川施設が被災した
- 山の斜面が崩れた
といった場合、まず必要になるのが現地の状況把握です。
ただし、災害直後の現場には二次災害の危険があり、職員がすぐ近くまで行けるとは限りません。
そこでドローンを使えば、安全な場所から被災箇所を撮影し、被害の位置や範囲などを把握する材料にできます。
建設現場でドローンを飛ばすのに資格は必要?
仕事でドローンに関わることになると、
「資格を取らないと飛ばせないの?」
という疑問も出てきます。
現在、ドローンには無人航空機操縦者技能証明という国家資格制度があります。
ただし、国土交通省は、技能証明書の取得についてすべての無人航空機の飛行で必須ではないとしています。
一方で、どこでも自由に飛ばせるわけでもありません。
飛行する空域や飛行方法などによっては、航空法上の許可・承認が必要になります。また、飛行カテゴリーや機体認証、技能証明の有無などによって必要な手続きも変わります。
そのため、
「資格を持っていればどこでも飛ばせる」
「資格がなければ仕事では飛ばせない」
のどちらで考えるのも正確ではありません。
仕事で飛ばす場合は、実際にどこで、どのような方法で飛ばすのかを確認して、必要な資格や手続きを判断します。
ドローンからICT施工・建設DXへつながっていく
ここまでの内容をつなげると、建設・土木でドローンが使われる理由が見えてきます。
ドローン
↓
測量・計測
↓
3次元データ・点群
↓
土量計算・出来形管理
↓
ICT施工
↓
建設DX
最初は、
「現場でドローンが飛んでいる」
というだけに見えるかもしれません。
しかし、その後ろでは取得した写真や3次元データが、測量や施工管理などに利用されています。
もちろん、すべての建設現場でこの流れのすべてを行うわけではありません。
工事の内容や目的、必要な精度などに応じて、使用する機器やデータ、活用方法を選びます。
まずは、
「ドローンは空撮するためだけの機械ではなく、現場を確認したり、現場の形をデータとして取得したりする道具」
と覚えておけば十分です。
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出典・参考資料
国土交通省|建設施工・建設機械
建設施工分野におけるICTやドローン活用の施策を確認。国土交通省「建設施工・建設機械」
国土交通省|要領関係等(ICTの全面的な活用)
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