道路工事の設計書や図面を見ていると、**「路体盛土」と「路床盛土」**という言葉が出てきます。
どちらも土を盛って締め固める工事ですが、なぜわざわざ分けているのでしょうか。
先に位置関係を整理すると、
路床は、舗装の下面から下へ約1mの部分。
路体は、盛土部のうち路床より下にある部分です。
さらに設計書を見ると、同じ1m³の盛土でも、路床盛土の方が路体盛土より積算単価が高くなっていることがあります。
この記事では、路体と路床の違い、なぜ約1mを路床とするのか、施工や積算では何が違うのかを初心者向けに解説します。
路体と路床はどこの部分?
まずは道路の断面から見てみましょう。
アスファルト舗装の道路は、おおまかに次のような構成になっています。

国土交通省の資料では、路床は舗装下面より1m以内の部分、路体は盛土部における路床以外の部分とされています。
整理すると、次のようになります。
| 比較 | 路体 | 路床 |
|---|---|---|
| 位置 | 盛土部の路床より下 | 舗装下面から下約1m |
| 主な役割 | 道路盛土を構成する | 舗装を支持する |
| 盛土部 | ある | ある |
| 切土部 | 路体盛土はない | ある |
| 舗装設計との関係 | 直接の評価対象ではない | 設計CBRで支持力を評価する |
まずは、**「上の約1mが路床、その下の盛土部分が路体」**と位置関係を覚えると分かりやすいでしょう。
路床とは? 舗装を支える約1mの部分
路床は、舗装を下から支える土の部分です。
道路を走る自動車の荷重は、表層や基層、路盤を通って、その下にある路床へ伝わります。
そのため舗装を設計するときには、路床がどれくらいの支持力を持っているのかを確認する必要があります。
そこで使われるのが設計CBRです。
路床の支持力によって、必要となる舗装構成を検討します。
CBR試験の方法や設計CBRの求め方については、別記事「CBR試験とは?設計CBR・現場CBRも初心者向けに解説」で詳しく解説しています。
路体とは? 路床より下にある盛土部分
路体は、盛土部のうち路床より下にある部分です。
例えば、道路を現在の地盤より5m高くするために盛土するとします。
舗装下面から約1mの範囲が路床となり、その下に施工する盛土部分が路体です。
路体も道路を支える重要な部分ですが、舗装に近い路床とは役割が違います。
この違いがあるため、道路土工では**「路体盛土工」と「路床盛土工」**を分けて扱っています。
切土の道路にも路床はある?
「路床盛土」という工種名を見ていると、
「路床って盛土した道路にしかないの?」と思うかもしれません。

路床“盛土”っていうくらいだから、路床は盛土した道路にしかないんですか?

切土の道路にも路床となる部分はあるよ。『盛土した部分』ではなく、舗装を支える土の部分と考えると分かりやすいね。
山などを掘削して道路をつくる場合でも、その上に舗装をつくる以上、舗装を支える路床があります。
一方、路体は道路の盛土を構成する部分なので、切土部には「路体盛土」はありません。
切土道路では、掘削後の地山のうち舗装を支える部分が路床になります。
盛土道路:舗装 → 路盤 → 路床 → 路体
切土道路:舗装 → 路盤 → 地山のうち路床となる部分
という違いがあります。
「路床=盛土の一番上」と覚えると切土で分からなくなるので、路床=舗装を支える土の部分と理解しておきましょう。
なぜ路床は約1mなの?
では、なぜ舗装の下約1mを路床として扱うのでしょうか。
道路を走る車の荷重は、タイヤから舗装へ伝わり、さらに下へ伝わっていきます。
その荷重は下へ行くほど広い範囲に分散するため、舗装に近い土ほど舗装を支えるうえで影響が大きくなります。
道路の舗装設計では、この影響を考慮して舗装下面から約1mの土の部分を路床として扱います。
舗装を支えるために、その支持力を評価する土の範囲と考えると、路床の役割が分かりやすくなります。
路体・路床にはどんな土砂が使用できる?
路体と路床はどちらも土を使ってつくりますが、使用する土砂に求められる条件は同じではありません。
国土交通省の「発生土利用基準」では、工事で発生した土を性状によって第1種~第4種建設発生土、泥土などに区分し、道路の路床・路体それぞれへの利用について目安を示しています。
代表的なものを整理すると次のようになります。
| 建設発生土 | 土のイメージ | 路床 | 路体 |
|---|---|---|---|
| 第1種 | 砂・礫など | ◎ | ◎ |
| 第2種 | 砂質土・礫質土など | ◎ | ◎ |
| 第3種 | 通常の施工性が確保される粘性土など | ○ | ◎ |
| 第4a種 | 粘性土など | ○ | ○ |
| 第4b種 | より施工性に注意が必要な粘性土など | △ | ○ |
| 第4種改良土 | 第4種を改良したもの | △ | ○ |
| 泥土a | 泥土 | △ | ○ |
| 泥土b | 泥土 | △ | △ |
| 泥土c | 泥土 | × | △ |
この表を見ると、路体の方が路床より幅広い建設発生土を利用できることが分かります。
特に分かりやすいのが第3種建設発生土です。
通常の施工性が確保される粘性土などが該当し、路床では「○」ですが、路体では「◎」となっています。
ただし、この◎・○・△・×は単純な「使える・使えない」ではありません。
◎:そのままで使用可能
○:適切な土質改良を行えば使用可能
△:○よりも土質改良にコストや時間がかかる
×:良質土との混合などを行わない限り、土質改良を行っても使用に適さない
※◎の場合でも、最大粒径や粒度分布、施工機械の選定など、用途や土質に応じた留意事項があります。
という考え方です。
路床については、建設発生土として利用できるかだけでなく、舗装を支える路床として必要な支持力を確保できるかも確認する必要があります。
ここで関係してくるのが、先ほど説明した設計CBRです。
路床は舗装を支えるため、土の支持力が舗装設計に関係する。
路体は路床より使用できる土の範囲が広いものの、安定した盛土をつくり、十分に締め固められる材料である必要がある。
この違いを押さえておきましょう。
なぜ路床盛土の方が積算単価が高いの?
設計書を見ていると、「同じ盛土なのに、なんで路床盛土の方が高いの?」と疑問に思うことがあります。
これまでの説明でもあった通り、路体と路床では求められている性能が異なっているため、国土交通省の施工パッケージ型積算方式でも、「路体(築堤)盛土」と「路床盛土」は別の施工パッケージとして設定されています。
令和8年度の標準単価を、次の同じ条件で比較してみます。
施工幅員4m以上・施工数量2万m³未満・障害なし
| 工種 | 標準単価 |
|---|---|
| 路体(築堤)盛土 | 257.39円/m³ |
| 路床盛土 | 394.89円/m³ |
この条件では、路床盛土の方が1m³当たりの標準単価が高くなっています。
では、なぜ違うのでしょうか。
施工を見ると、その違いの一つが分かります。
国土交通省の土木工事共通仕様書では、一層の仕上り厚について、
路体盛土:30cm以下
路床盛土:20cm以下
とされています。
例えば60cmの高さを施工する場合、単純化すると、
路体:30cm+30cm → 2層
路床:20cm+20cm+20cm → 3層
となります。
盛土は土を一気に積み上げて、最後にまとめて締め固めるわけではありません。
土を敷き均す → 締め固める → 次の土を敷き均す → また締め固める
という作業を層ごとに繰り返します。
このように、路体盛土と路床盛土では施工条件が異なります。施工パッケージでも両者は別工種として設定されており、それぞれの施工条件に応じた機械・労務などをもとに標準単価が設定されています。
まとめ|路体と路床は位置だけでなく役割や施工も違う
路体と路床の違いを整理すると、
路床は、舗装を支える約1mの土の部分。
路体は、盛土部のうち路床より下にある部分です。
路床は舗装を支えるため、その支持力が舗装設計に関係します。一方、路体は路床より利用できる建設発生土の範囲が広いものの、どんな土でも自由に使用できるわけではありません。
施工でも、路体盛土と路床盛土では一層の仕上り厚などが異なり、積算では別の施工パッケージとして扱われています。
設計書で「路体盛土」「路床盛土」という言葉を見つけたら、まず横断図を見て、道路のどの部分を施工する工種なのかを確認すると理解しやすくなります。
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出典・参考資料
国土交通省|道路技術基準の体系(土工)
道路土工構造物技術基準や道路土工に関する基準・参考図書を確認しました。
国土交通省|道路土工構造物技術基準
路床を「舗装の基礎となる舗装下面の土の部分」とする定義など、道路土工構造物の基本的な考え方を確認しました。
国土交通省|発生土利用基準について
建設発生土の土質区分や、道路用盛土の路床・路体への利用について確認しました。
国土交通省|土木工事共通仕様書・施工管理基準等
令和8年3月版「土木工事共通仕様書(案)」から、路体盛土工・路床盛土工の施工方法や一層の仕上り厚などを確認しました。
国土交通省 国土技術政策総合研究所|施工パッケージ型積算方式
路体(築堤)盛土と路床盛土の施工パッケージ、令和8年度標準単価など積算上の違いを確認しました。



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