工事現場では、
「ここを床掘りして」
「床掘りが終わったら基礎をつくる」
といった言葉がよく出てきます。
でも、初めて聞くと、
「床掘りって、普通に土を掘るのと何が違うの?」
と思いませんか?
実際の現場では、掘削も床掘りもバックホウなどで土を掘るため、作業を見ただけでは違いが分かりにくいことがあります。
この記事では水路工事を例に、床掘りとは何か、掘削との違い、さらに積算ではどう区別されるのかを初心者向けに解説します。
床掘りとは?
床掘りとは、水路や擁壁などの構造物をつくるために、必要な部分の土を掘り下げる作業です。
たとえば、地面の中にコンクリート水路を設置するとしましょう。
まず水路や基礎を施工できるように地盤を掘ります。その後、基礎や水路を施工し、周囲に残った空間を埋め戻します。
国土交通省の「土木工事数量算出要領」では、床掘りは構造物の築造または撤去を目的として土砂などを掘り下げ、埋戻しを伴う箇所として整理されています。
床掘りと掘削の違い
床掘りと掘削の違いは、水路工事の図面で見ると分かりやすくなります。

図の左側が掘削、右側が床掘りです。
掘削は、地盤そのものを必要な高さや形にするために土砂を取り除くものです。道路工事で山を削って道路の高さまで地盤を下げる「切土」などが分かりやすい例です。
一方、床掘りは図のように、水路などの構造物を施工するためのスペースを確保するために行います。
違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 掘削 | 床掘り |
|---|---|---|
| 主なイメージ | 地盤そのものを掘る | 構造物のために掘る |
| 代表例 | 道路の切土など | 水路・擁壁など |
| 構造物 | なくても行う | 構造物の築造・撤去が目的 |
| 埋戻し | 伴わない | 伴う |
| 数量単位 | m³ | m³ |
見た目だけでは区別できない
ここは初心者が間違えやすいポイントです。
「バックホウで土を掘っている=掘削」ではありません。
床掘りにもバックホウを使用するため、現場で掘っている様子だけを見て判断するのは難しい場合があります。
実務では、図面や数量計算書を見て、その部分を何のために掘っているのかを確認すると理解しやすくなります。
積算では床掘りと掘削はどう違う?
公共工事では、掘削と床掘りは数量算出だけでなく積算上も分けて扱われます。
掘削は地盤を掘り下げる土工作業を想定していますが、床掘りは構造物を施工するための掘削空間をつくる作業です。
そのため床掘りでは、施工幅が狭い、掘削深さが深い、土留めの中で施工する、障害物があるなど、構造物周辺特有の施工条件が発生します。
こうした条件によって、使用するバックホウの大きさが変わったり、小型バックホウやクラムシェルを使用したり、普通作業員・特殊作業員による作業が必要になったりします。
同じ1m³の土を掘る場合でも、想定する機械・人員・施工効率が異なるため、「掘削」と「床掘り」は別の施工として積算されているのです。
まとめ|床掘りと掘削は「何のために掘るか」が違う
床掘りも掘削も、現場ではバックホウなどを使って土を掘るため、作業している姿だけを見て区別するのは難しいことがあります。
床掘りは、水路や擁壁などの構造物をつくるために必要な部分を掘り、その後に埋戻しを伴うような作業で使われる言葉です。
一方、掘削は道路の切土など、地盤そのものを所定の形まで掘り下げる場合などに使われます。
初心者のうちは、
「バックホウで掘っているから全部掘削」
と考えないようにしましょう。
実際の数量計算や積算では、何のために掘るのか、構造物をつくったあとに埋戻しを行うのかなどを確認し、設計図書や適用する数量算出要領等に基づいて区分することが大切です。
関連記事
「そもそも掘削とは何?」「オープンカットと片切掘削はどう違う?」という方はこちらの記事で詳しく解説しています。
出典・参考資料
この記事では、国土交通省の「土木工事数量算出要領」を参考に、床掘りについて初心者向けに整理・解説しています。
国土交通省 中国地方整備局|土木工事数量算出要領(令和8年4月版)
「第1編 共通編 2章 土工」の作業土工・床掘工を参考にしています。
上記ページの「土木工事数量算出要領」から、最新の資料を確認できます。
※床掘りの数量算出方法や区分等は、発注機関、工事条件、適用する基準・要領等によって異なる場合があります。実際の積算・数量計算では、当該工事に適用される最新の設計図書、積算基準、数量算出要領等をご確認ください。



コメント