生コンの受入検査とは?スランプ・空気量・塩化物量など何を確認するのか解説

現場・施工管理

現場に生コン車が到着すると、コンクリートを筒のような容器に詰めたり、温度を測ったり、供試体を作ったりしていることがあります。

初めて見ると、

「何を調べているんだろう?」

と思うかもしれません。

これは、現場に届いた生コンの品質を確認するための試験です。

生コンは工場で品質管理されていますが、現場では注文したコンクリートが届いているか納入書を確認し、スランプや空気量などを試験します。

この記事では、生コンの受入時に行う主な試験について、何を測っているのか・なぜ必要なのか・現場では何を確認すればよいのかを初心者向けに解説します。

生コンの受入検査とは?

生コンは、生コン工場で製造され、生コン車で現場まで運ばれてきます。

現場に到着したら、そのまま何も確認せず打ち込むわけではありません。

まず納入書を確認し、必要に応じて生コンから試料を採取して品質を確認します。

国土交通省の土木工事共通仕様書でも、受注者はレディーミクストコンクリートの品質を確かめるため、JIS A 5308による検査を実施することとされています。

生産者などに試験を代行させる場合も、受注者はその試験に臨場します。

現場でよく見るのが、次のような確認や試験です。

確認・試験主に確認していること
納入書注文した生コンが届いているか
スランプ試験生コンの軟らかさ・流動性
空気量測定生コンに含まれる空気の量
コンクリート温度生コンの温度
塩化物量測定コンクリート中の塩化物量
供試体の作製後日、圧縮強度を確認する

それぞれ何を見ているのか、順番に見ていきましょう。



最初に納入書を確認する

試験の前に確認しておきたいのが、生コンの納入書です。

例えば設計・施工で使用する生コンが「18-8-40BB」なら、現場に到着した生コンも指定したものになっているか確認します。

納入書では、生コンの種類だけでなく、数量や時刻なども確認します。

現場では試験結果だけを見るのではなく、

「そもそも注文した生コンが届いているか」

から確認することになります。

納入書に書かれている「18-8-40BB」などの数字や記号が分からない場合は、コンクリートの18-8-40BB・24-8-25BBとは?数字と記号の意味を初心者向けに解説で、呼び強度・スランプ・粗骨材最大寸法・セメントの種類を順番に解説しています。

スランプ試験|生コンの軟らかさを確認する

現場で特によく見るのがスランプ試験です。

スランプは簡単にいうと、まだ固まっていないコンクリートの軟らかさ・流動性を表す値です。

スランプコーンと呼ばれる円すい台形の容器にコンクリートを詰め、容器を上へ引き抜きます。

するとコンクリートが自重で下がります。

スランプコーンを引き上げたあと、コンクリートの頂部が元の高さからどれだけ下がったかをcmで測ります。この値がスランプです。

例えばスランプ8cmの生コンなら、試験値が8cmピッタリでなければ不合格、というわけではありません。

国土交通省の品質管理基準では、スランプ8cm以上18cm以下の場合の許容差は**±2.5cm**です。

例えば指定したスランプが8cmなら、

8cm ± 2.5cm → 5.5~10.5cm

が許容範囲になります。

スランプは施工のしやすさにも関係するため、現場では「測定値はいくつだったか」だけでなく、指定したスランプと許容差の範囲に入っているかを確認します。

空気量|コンクリートの中の空気を測る

「コンクリートなのに、空気が入っていていいの?」

と思うかもしれません。

コンクリートには、耐久性や施工性を確保するため、AE剤などによって微細な空気を入れることがあります。

特に寒冷地では、コンクリート内部の水分が凍結と融解を繰り返すことで劣化する凍害への抵抗性にも関係します。

そのため、空気は多ければよいわけでも、少なければよいわけでもありません。

現場では空気量測定器を使って、コンクリート中にどれくらいの空気が含まれているか測定します。

国土交通省の品質管理基準では、空気量の許容差は**±1.5%**です。

例えば指定した空気量が4.5%なら、

4.5% ± 1.5% → 3.0~6.0%

が許容範囲になります。

ここでも確認するのは、測定値そのものではなく、指定した空気量に対して許容範囲に入っているかです。

コンクリート温度|なぜ温度まで測るの?

コンクリート温度も、施工条件や品質管理基準などに応じて確認します。

コンクリートは、セメントと水の水和反応によって硬化します。

そのため、コンクリートの温度は硬化の進み方や施工性、ひび割れなどに関係します。

例えば夏場は、生コンの温度が高くなりやすく、コンクリートの軟らかさが短時間で失われたり、表面から水分が急速に失われたりすることがあります。

反対に冬場は、気温が低いため強度の発現が遅くなり、凍結への対策も必要になります。

そこで施工時には、気象条件や施工条件に応じてコンクリート温度も確認します。

夏や冬にコンクリート温度を確認する理由や、通常の施工から何が変わるのかは、暑中・寒中コンクリートとは?夏と冬で施工方法が変わる理由を初心者向けにわかりやすく解説で詳しく解説しています。

塩化物量|鉄筋を錆びさせる原因が多くないか確認する

鉄筋コンクリートでは、塩化物量も重要な確認項目です。

塩化物イオンが多くなると、コンクリート内部の鉄筋の腐食につながるためです。

鉄筋が腐食すると膨張し、周囲のコンクリートにひび割れや剥離が発生する原因になります。

国土交通省の基準では、コンクリート中の塩化物総量について原則0.30kg/m³以下とされています。

「塩化物量を測って何を確認しているの?」

と思ったら、

将来、内部の鉄筋を腐食させる原因となる塩分が多く含まれていないか確認している

と考えると分かりやすいでしょう。

圧縮強度|現場では供試体を作る

スランプや空気量は、その場で測定結果が分かります。

一方、コンクリートの強度は、その場では確認できません。

まだ生コンだからです。

そこで打設時にコンクリートを採取し、円柱形の**供試体(テストピース)**を作ります。

供試体を所定の条件で養生したあと、圧縮強度試験を行います。

国土交通省の品質管理基準では、通常のセメント・コンクリートについて、1回につき6個の供試体を採取し、材齢7日用3個、材齢28日用3個とする基準が示されています。

ここで初心者が混乱しやすいのが、

「呼び強度18なら、28日後に18N/mm²以上ならOKなの?」

という点です。

国土交通省の品質管理基準では、圧縮強度について、

  • 1回の試験結果:指定した呼び強度の85%以上
  • 3回の試験結果の平均値:指定した呼び強度以上

という規格値が示されています。

なお、ここでいう1回の試験結果は、3個の供試体の試験値の平均値です。

供試体をなぜ6本作るのか、7日強度と28日強度は何を確認しているのか、試験結果をどう判定するのかは、コンクリートの圧縮強度試験とは?テストピース・7日強度・28日強度を初心者向けに解説で詳しく解説しています。

受入検査は生コン車が来るたびに全部やる?

ここも現場初心者が疑問に思いやすいところです。

すべての生コン車について、毎回すべての試験をするわけではありません。

試験項目ごとに、品質管理基準や設計図書などで試験頻度を確認します。

例えば国土交通省の品質管理基準では、通常のセメント・コンクリートについて、スランプ試験と空気量測定は、

荷卸し時に1回/日以上、または構造物の重要度と工事規模に応じて20~150m³ごとに1回

などの基準が示されています。

また、荷卸し時に品質変化が認められた場合にも試験します。

小規模工種には別の扱いがあり、道路橋鉄筋コンクリート床版では原則として全運搬車を測定するなど、工種によっても変わります。

そのため実際の工事では、

「今日は何台生コン車が来るから何回試験する」

と感覚で決めるのではなく、施工前に品質管理基準・設計図書・施工計画書の品質管理計画を照合して試験頻度を決めておきます。

発注者・施工者は現場で何を確認する?

初めて受入検査に立ち会うと、試験器具や数字ばかりに目が行きがちです。

現場では、試験値だけでなく一連の流れで確認すると分かりやすくなります。

① 納入書を確認する
指定した種類の生コンか、数量や時刻などを確認します。

② 試験する生コンを確認する
実際に打設する生コンから採取した試料なのかを確認します。

③ 試験結果を確認する
スランプや空気量などの測定値を確認します。

④ 規格値と照合する
「スランプ8cmだった」で終わらず、指定値に対する許容差に入っているか確認します。

⑤ 供試体を確認する
必要な本数が作製されているか、どのコンクリートから採取した供試体なのか分かるよう管理されているか確認します。

⑥ 記録を残す
品質管理記録や工事写真など、後から確認できる形で整理します。

発注者として立ち会う場合も、「試験をやっているからOK」ではなく、何を測り、その結果を何と照合しているのかを見ると受入検査の意味が分かるようになります。

受入検査で品質を確認した生コンは、次に型枠へ打ち込み、バイブレータなどで締め固めます。受入検査後の施工の流れは、コンクリートの打込み・締固めとは?ポンプ圧送からバイブレータまで初心者向けに解説で続けて解説しています。

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出典・参考資料

国土交通省|令和8年度 土木工事共通仕様書(案)「第3節 レディーミクストコンクリート」
レディーミクストコンクリートの工場選定、品質検査、配合などの基本的な規定を確認。品質検査についてはJIS A 5308によることが定められています。

国土交通省|土木工事施工管理基準及び規格値(案)「品質管理基準及び規格値(案)」
スランプ、空気量、圧縮強度、塩化物総量などの規格値、試験方法、試験頻度を確認。

日本規格協会|JIS A 5308:2024 レディーミクストコンクリート・JIS A 5308:2024/AMENDMENT 1:2026 レディーミクストコンクリート(追補1)
荷卸し地点まで配達されるレディーミクストコンクリートの品質、試験・検査などに関する現行規格を確認。

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