「家の裏に山があるけど、土砂崩れは大丈夫かな?」
「山からどれくらい離れていれば安全なんだろう?」
山の近くに住んでいると、大雨のニュースを見るたびに気になる人もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、山が近いというだけで、その家が危険とは判断できません。
大切なのは山までの距離だけではなく、斜面や谷との位置関係、その場所でどのような土砂災害が想定されているのかを確認することです。
この記事では、土砂災害の種類から、自宅周辺の危険を調べる方法まで、土木を知らない人にもわかるように解説します。
山の近くに住むのは危険なの?

家の裏に山があるんですけど……山の近くって、やっぱり危険なんですか?

山が近いだけで危険とは言えないよ。大事なのは、どんな地形で、どんな土砂災害のおそれがある場所なのかを確認することだね
「山から○m離れていれば絶対に安全」というように、山との距離だけで簡単に判断することはできません。
たとえば、家のすぐ近くに急な斜面があれば「がけ崩れ」を考える必要があります。
一方、山から少し離れていても、谷や沢の出口付近では「土石流」に注意が必要な場合があります。
つまり、
「山が近いか」だけではなく、「山や谷に対して家がどこにあるのか」を見ることが大切なのです。
では、具体的にどんな土砂災害があるのでしょうか。
山の近くではどんな土砂災害が起こる?
土砂災害は、大きく分けると次の3種類があります。
| 種類 | どんな災害? | イメージ |
|---|---|---|
| がけ崩れ | 急な斜面が崩れ落ちる | がけの下に土砂が落ちる |
| 土石流 | 水と土砂・石などが一気に流れる | 谷や沢から土砂が流れてくる |
| 地すべり | 地面の大きなかたまりが動く | 斜面そのものがゆっくり動く |
がけ崩れ
大雨などで地面に水がしみ込み、斜面が突然崩れ落ちる現象です。
特に急な斜面の近くでは注意が必要です。
がけ崩れは突然起こることがあり、崩れた場所のすぐ下に住宅があると大きな被害につながることがあります。
土石流
山や谷にある土砂や石が、大量の水と混ざって一気に下流へ流れてくる現象です。
「山が崩れて、そのまま下に落ちる」というより、土砂が水と一緒に谷や沢を流れてくるイメージです。
そのため、山から多少離れていても、谷や沢の出口付近などでは注意が必要な場合があります。
地すべり
地下水などの影響によって、斜面の土が大きなかたまりとなって動く現象です。
がけ崩れと比べると、一般的には動く範囲が広く、ゆっくり移動することがあります。
同じ「山の土が動く災害」でも、実はそれぞれ仕組みが違うのです。

「山から離れているから大丈夫」とは限らない

じゃあ山から離れたところに家があれば安心ですね!

そうとも限らないよ。土砂がどこを通ってくる可能性があるのかも考えないとね
土砂災害を考えるときに注意したいのが、山との距離だけで安全・危険を判断しないことです。
わかりやすいのが土石流です。
土石流は谷や沢に沿って流れ下るため、山の斜面から少し離れた場所でも、その流れの先に住宅があれば影響を受ける可能性があります。
逆に、山が近くに見えるからといって、それだけで「この家は危険」と決めることもできません。
地形や地質など、さまざまな条件が関係するからです。
では、自分の家が危険かどうかはどうやって判断すればいいのでしょうか。
ここで頼りになるのがハザードマップです。
自分の家が危険かどうか調べてみよう
自宅周辺の土砂災害リスクが気になったら、まずハザードマップを確認してみましょう。
国の「ハザードマップポータルサイト」では、住所などから場所を探して、土砂災害をはじめとするさまざまな災害リスクを確認できます。
確認するときは、
① 自宅の場所を探す
↓
② 土砂災害の表示を確認する
↓
③ 自宅周辺だけでなく避難経路も見る
↓
④ 指定緊急避難場所などを確認する
という順番で見てみましょう。
ここで大切なのは、「自宅に色が付いているか」だけ見て終わらないこと。
大雨になったとき、どこへ避難するのか。
そこまでの道はどこを通るのか。
自宅周辺とあわせて確認しておくと、防災に役立ちます。
ハザードマップの基本的な見方については、別記事の「ハザードマップの見方」で詳しく解説しています。
ハザードマップの黄色や赤色は何?
土砂災害のハザードマップを見ると、山の周辺などに黄色や赤色で表示された場所があります。
代表的なのが、
土砂災害警戒区域(いわゆるイエローゾーン)
と
土砂災害特別警戒区域(いわゆるレッドゾーン)
です。
土砂災害警戒区域は、土砂災害が発生した場合に住民の生命または身体に危害が生じるおそれがあり、警戒避難体制の整備などが行われる区域です。
さらに土砂災害特別警戒区域は、建築物に損壊が生じ、住民の生命または身体に著しい危害が生じるおそれがある区域で、特定の開発行為への制限や建築物の構造規制なども行われます。
ただし、ここで一つ注意があります。
山から少し離れていて色が付いていない場所なら、土砂災害が絶対に起こらないという意味ではありません。
ハザードマップは防災を考えるうえで非常に重要な情報ですが、「区域外=絶対安全」と考えないようにしましょう。
大雨になったら「今の危険度」も確認しよう
ハザードマップを見て、
「うちの周りに土砂災害のリスクがあることはわかった」
となっても、それだけで終わりではありません。
ハザードマップは、その場所にどのような災害リスクがあるのかを平常時から確認するものです。
一方、大雨が降っているときには、今どこで土砂災害の危険度が高まっているのかを確認することも大切です。
そこで使えるのが、気象庁の**「土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)」**です。
土砂キキクルでは、大雨による土砂災害の危険度の高まりを地図上に色分けして確認できます。
大雨のときは、
ハザードマップだけを見るのではなく、自治体からの避難情報や気象庁の防災気象情報など、最新の情報も確認しましょう。

山の近くに住んでいるなら一度確認してみよう
家の近くに山があると、
「山から何m離れていれば大丈夫?」
と考えたくなるかもしれません。
しかし、土砂災害は山との距離だけで判断できるものではありません。
がけ崩れなら斜面との位置関係、土石流なら谷や沢との位置関係など、災害の種類によって見る場所も変わります。
だからこそ、まずは自宅周辺のハザードマップを確認してみましょう。
そして、
自宅周辺にはどんな災害リスクがあるのか。
避難するとしたら、どこへ行くのか。
これを大雨になる前に知っておくことが大切です。
「山が近いから怖い」で終わらせず、自分が住んでいる場所を知ることから防災を始めてみましょう。
出典
・国土交通省「砂防(土砂災害とその対策)」
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sabo/
・国土交通省「土砂災害警戒区域等の指定状況等」
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sabo/linksinpou.html
・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」
https://disaportal.gsi.go.jp/
・気象庁「キキクル(危険度分布)」
https://www.jma.go.jp/bosai/risk/
※土砂災害の危険性は、地形・地質・降雨状況などさまざまな条件によって異なります。本記事だけで個別の土地の安全性を判断せず、自治体が公表するハザードマップや避難情報、気象庁などの最新情報を確認してください。



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