土砂災害警戒区域に家があるとどうなる?イエローゾーン・レッドゾーンの違いを図解で解説

災害・防災

ハザードマップで自宅の周辺を見てみると、山の近くが黄色や赤色で囲まれていることがあります。

「うち、黄色の中に入ってる……」

「レッドゾーンって書いてあるけど、ここに住んでいて大丈夫なの?」

初めて見ると、不安になりますよね。

この黄色や赤色は、土砂災害防止法に基づいて指定される

**「土砂災害警戒区域」**

などを示しています。ただし、

黄色になったら住んではいけない。
赤色になったらすぐに引っ越さなければならない。

という単純な話ではありません。

この記事では、土砂災害警戒区域とは何なのか、イエローゾーンとレッドゾーンは何が違うのかを、土木を知らない人にも分かるように解説します。


土砂災害警戒区域とは?

土砂災害警戒区域とは、簡単にいえば、

土砂災害が発生した場合に、住民の生命や身体に危害が生じるおそれがある区域

です。

土砂災害防止法に基づき、都道府県が基礎調査を行い、区域を指定します。

ここで勘違いしやすいポイントがあります。

土砂災害警戒区域は、

「ここで必ず土砂災害が起きる」という予測図ではありません。

反対に、区域の外なら絶対に土砂災害が起きないという意味でもありません。

土砂災害には「がけ崩れ」「土石流」「地すべり」などがあります。

それぞれどんな場所で起こりやすいのかは、別の記事で詳しく解説しています。

【関連記事】山の近くに住むのは危険?図解で土砂災害が起きやすい場所と確認方法を解説


黄色と赤色は何が違う?

土砂災害のハザードマップを見ると、黄色と赤色に分かれていることがあります。

一般的に、

黄色=土砂災害警戒区域(イエローゾーン)

赤色=土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)

と呼ばれています。

大まかな違いを整理すると、次のようになります。

イエローゾーンレッドゾーン
正式名称土砂災害警戒区域土砂災害特別警戒区域
主な意味生命・身体に危害が生じるおそれがある建物が損壊し、生命・身体に著しい危害が生じるおそれがある
主な対策警戒・避難体制の整備など警戒・避難に加えて開発や建築物への規制など

ポイントは、レッドゾーンでは「建物が土砂の力を受けること」まで考えられていることです。



イエローゾーンに家があるとどうなる?

自宅を調べて黄色の区域に入っていると、

「ここには家を建てられないの?」

と思うかもしれません。

しかし、イエローゾーンに指定されたことだけを理由に、住宅の建築が一律に禁止されるわけではありません。

イエローゾーンでは、土砂災害から住民を守るために、市町村地域防災計画への必要事項の記載やハザードマップによる周知など、警戒・避難のための体制づくりが行われます。

つまり黄色は、

「住んではいけない場所」というより、「土砂災害の危険性を知って、避難について考えておく必要がある場所」

と考えると分かりやすいでしょう。

ただし、

「家を建てられる=安全」ではありません。

ここは分けて考える必要があります。


レッドゾーンに家があるとどうなる?

レッドゾーンの正式名称は**「土砂災害特別警戒区域」**です。

土砂災害によって建築物が損壊し、住民の生命や身体に著しい危害が生じるおそれがある区域です。

そのため、イエローゾーンの対策に加えて、

・一定の開発行為に対する許可
・建築物の構造規制
・建築物の移転等の勧告

などの仕組みがあります。

たとえば新しく住宅を建てる場合には、想定される土砂の力に対して安全な構造になっているかなどが関係してきます。



ただし、

「レッドゾーンに指定された=今住んでいる家から直ちに退去しなければならない」

という意味ではありません。

新築や開発、既存住宅などでは関係する制度が異なるため、実際に土地の購入や建築を検討する場合は、自治体の担当窓口などで確認しましょう。


土砂災害警戒区域は誰が決めている?

では、地図にある黄色や赤色の線は誰が決めているのでしょうか。

土砂災害防止法では、都道府県が基礎調査を行い、その結果をもとに区域を指定する仕組みになっています。

基礎調査では、土砂災害のおそれがある場所について、地形や土地利用の状況などを調べます。

つまり、

「なんとなく山に近いから黄色」

と決めているわけではありません。

調査を行い、法律で定められた基準に基づいて区域を設定しています。


土砂災害警戒区域はいつからあるの?

実は、現在の土砂災害警戒区域の制度は、昔からあったわけではありません。

大きなきっかけとなったのが、1999年(平成11年)に広島県で発生した土砂災害です。

その後、2000年(平成12年)に「土砂災害防止法」が制定され、2001年(平成13年)に施行されました。

それから全国で基礎調査や区域指定が進められていきます。

さらに大きな転機となったのが、2014年(平成26年)の広島市の土砂災害です。

土石流やがけ崩れによって甚大な被害が発生し、

「危険性が住民に十分伝わっていなかった」

「避難体制が十分ではなかった」

などの課題が明らかになりました。

これを受けて土砂災害防止法が改正され、2015年(平成27年)1月に改正法が施行されました。

改正によって、都道府県による基礎調査結果の公表が義務化されるなど、住民に土砂災害の危険性を知らせる仕組みが強化されました。

さらに全国の都道府県で、おおむね5年以内に基礎調査を完了させる目標も設定されました。

こうして現在のように、

危険な場所を調べる
↓
住民に知らせる
↓
避難につなげる

という仕組みが整えられてきたのです。


「昔は区域じゃなかったのに」はおかしくない

長く同じ場所に住んでいる人なら、

「昔はこんな区域じゃなかったのに、いつの間に黄色になったんだ?」

と思うこともあるでしょう。

ここで大切なのは、

区域に指定された日から、突然その山が危険になったわけではない

ということです。

調査や区域指定が進んだことで、それまで十分に見える形になっていなかった土砂災害のリスクが、黄色や赤色の区域として示されるようになった場合があります。

その後の調査や地形・土地利用状況の変化、対策施設の整備状況などを踏まえて、区域が見直される場合もあります。

黄色や赤色の線は、土砂災害の危険性を住民が知るための**「見える化」**と考えると分かりやすいでしょう。


自宅が土砂災害警戒区域だったら何を確認する?

自宅が黄色や赤色の区域に入っていたら、色を見るだけで終わらせないことが大切です。

まず確認したいのは、

① イエローゾーンかレッドゾーンか
② どんな土砂災害が想定されているか
③ 避難場所はどこか
④ どの経路で避難するか

です。

特に大雨が降ってから初めて避難場所を探すのではなく、普段から確認しておくことが重要です。

ハザードマップには土砂災害以外にも洪水や内水氾濫など、さまざまな災害情報があります。

【関連記事】ハザードマップの見方を初心者向けに解説


まとめ|黄色や赤色は「危険を見えるようにした情報」

土砂災害警戒区域を初めて見ると、

「黄色だから危険?」

「赤色なら住めない?」

と色だけに目がいきがちです。

しかし大切なのは、その色が何を意味しているのかを知ることです。

イエローゾーンは、土砂災害によって生命や身体に危害が生じるおそれがあり、警戒・避難体制を整える区域。

レッドゾーンは、それに加えて建築物が損壊し、生命や身体に著しい危害が生じるおそれがあるため、開発や建築物についても一定の規制がある区域です。

そして、こうした制度は過去の土砂災害を教訓に少しずつ整えられてきました。

自宅が黄色や赤色だからと必要以上に怖がるのではなく、

「自分の家にはどんな土砂災害のリスクがあるのか」

を知り、いざというときの避難につなげる。

それが土砂災害警戒区域を見る一番大切な意味です。


出典

本記事は、以下の国土交通省の資料・情報を参考に作成しています。

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