コンクリートの型枠を外したとき、
「砂利がむき出しになっている」
「小さな穴がたくさんある」
「ひび割れが入っている」
といった状態が見つかることがあります。
これらは、施工中や施工後の早い時期に生じるコンクリートの初期欠陥の可能性があります。
代表的なものには、ジャンカ(豆板)、初期ひび割れ、表面気泡、砂すじ、コールドジョイントなどがあります。
見た目だけの問題に思えるものもありますが、欠陥の種類や程度によっては、水分や塩分などが内部へ侵入しやすくなり、将来的な劣化につながることがあります。
この記事では、コンクリート工事を初めて担当する人に向けて、
- どんな初期欠陥があるのか
- 見た目でどう違うのか
- なぜ発生するのか
- 見つけたら何を確認するのか
- 発生を減らすために施工時に何を見るのか
を順番に解説します。
コンクリートの初期欠陥とは?
コンクリートの初期欠陥とは、施工中や施工後の比較的早い段階で生じる不具合です。
まずは代表的なものを見てみましょう。
| 見た目・状態 | 名称 | 主に関係すること |
|---|---|---|
| 粗骨材がむき出しになり、空隙がある | ジャンカ(豆板) | 充填・締固め・材料分離・モルタル漏れなど |
| 線状の割れがある | 初期ひび割れ | 沈下・水分の蒸発・乾燥・温度変化など |
| 小さな丸い穴が多数ある | 表面気泡 | 型枠面に残った気泡など |
| 表面に砂が筋状に現れる | 砂すじ | ブリーディング水の移動・型枠の状態など |
| 打重ね部が十分に一体化していない | コールドジョイント | 打重ねまでの時間・施工方法など |
ここで注意したいのが、見た目だけで初期欠陥の種類や程度を決めつけないことです。
たとえば、コンクリートの打重ね部分に線が見えていても、それだけでコールドジョイントとは判断できません。
まずは代表的な見た目と発生する仕組みを知り、施工状況なども合わせて確認することが必要です。

ジャンカ(豆板)とは?
型枠を外したら、コンクリートの一部で砂利のような粗骨材がむき出しになっている。
このような状態は、**ジャンカ(豆板)**と呼ばれます。
ジャンカは、粗骨材の間にモルタルが十分に行き渡らず、空隙が多くなった状態です。
表面だけに見えていても、内部まで空隙が続いている可能性があります。
なぜジャンカができる?
ジャンカには、打込みや締固めなど複数の施工条件が関係します。
たとえば、
- コンクリートが型枠のすみずみまで十分に行き渡らなかった
- バイブレータによる締固めが不足した
- 鉄筋が密集してコンクリートが入りにくかった
- 打込み時に材料分離が生じた
- 型枠の隙間などからモルタル分が漏れた
といった原因が考えられます。
特に鉄筋が密集している場所や、コンクリートが入りにくい狭い部分では注意が必要です。
「コンクリートを入れたから大丈夫」ではなく、粗骨材を含むコンクリートが必要な場所まで行き渡り、その後十分に締め固められたかを見る必要があります。
コンクリートをどう打ち込み、バイブレータをどう使うのかについては、次の記事で詳しく解説しています。
👉 コンクリートの打込み・締固めとは?ポンプ圧送からバイブレータまで初心者向けに解説
ジャンカを見つけたら何を見る?
型枠を外してジャンカを発見したとき、すぐにモルタルなどで表面を覆ってしまうと、元の状態が分からなくなってしまいます。
まず確認したいのは、
- どこに発生しているか
- どのくらいの範囲か
- 表面だけでなく内部まで空隙が続いていないか
- 粗骨材がどの程度露出しているか
- 鉄筋が露出していないか
- 同じ打設箇所のほかの場所にも発生していないか
といった点です。
ジャンカは表面に見えている範囲だけでなく、内部まで空隙が続いている場合があります。必要に応じて状態を詳しく確認し、補修の要否や方法を検討します。
施工者側では、発生位置や範囲、状態が分かる写真などを残します。
そのうえで設計図書や適用する基準を確認し、必要な報告・協議や補修方法の検討につなげます。
「見つける→状態を記録する→影響を確認する→対応を決める」
という順番で考えると分かりやすいでしょう。
初期ひび割れとは?
コンクリートに線状の割れが入っている状態がひび割れです。
ここで知っておきたいのは、
初期に発生するひび割れにも、いくつか種類がある
ということです。
代表的なものには、施工直後に生じる沈みひび割れやプラスチック収縮ひび割れのほか、硬化後の乾燥収縮や温度変化などによって生じるひび割れがあります。
同じ「ひび割れ」に見えても、発生する仕組みは異なります。
沈みひび割れ
打ち込んだ直後のコンクリートは、固まるまでの間に沈下します。
ところが内部に鉄筋などがあると、その部分でコンクリートの沈下が妨げられます。
その結果、鉄筋の上などに沿ってひび割れが発生することがあります。
これが沈みひび割れです。
コンクリートがまだ固まっていない適切な時期であれば、タンピングや再振動によって修復する場合があります。
プラスチック収縮ひび割れ
まだ固まっていないコンクリートの表面から水分が急速に蒸発すると、表面部分が収縮してひび割れることがあります。
これがプラスチック収縮ひび割れです。
気温が高い、風が強い、湿度が低いといった条件では、表面から水分が失われやすくなります。
そのため、打込み後のコンクリートを急激に乾燥させないことが重要です。
温度ひび割れ
コンクリートが固まる過程では、セメントと水の反応によって熱が発生します。
その後、コンクリートの温度が下がると収縮します。
この収縮が周囲から拘束されると、コンクリート内部に引張応力が生じ、ひび割れにつながることがあります。
これが温度ひび割れです。
特に断面の大きなコンクリートでは、水和熱による温度変化の影響が大きくなるため注意が必要です。
乾燥収縮ひび割れ
硬化したコンクリートは、内部の水分が失われることで収縮します。
この収縮が周囲の部材などに拘束されると、ひび割れにつながることがあります。
そのため、コンクリートを打ち込んだ後は、表面を急激に乾燥させないよう適切に養生します。
「なぜコンクリートに散水するの?」「養生では何をするの?」という疑問は、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉 コンクリートの養生とは?湿潤養生の方法と養生期間を初心者向けに解説
ひび割れを見つけたら何を見る?
ひび割れは、「ある・ない」だけではなく、どんなひび割れなのかを見ることが重要です。
たとえば、
- 発生している位置
- ひび割れの方向
- 長さ
- 幅
- いつ確認されたか
- 同じようなひび割れがほかにもないか
- 漏水などを伴っていないか
などを確認します。
ひび割れの原因は一つとは限りません。
形状や発生位置だけでなく、施工時期、天候、打込みや養生の状況なども合わせて原因を考えます。
表面気泡とは?
型枠を外したコンクリートの表面に、小さな丸い穴がポツポツと残っていることがあります。
これが表面気泡です。
コンクリートを打ち込むと、内部には気泡が存在します。
締固めによって余分な空気は抜けていきますが、一部が型枠面に残ったままコンクリートが固まると、その跡が小さな穴として表面に現れます。
ジャンカと表面気泡は何が違う?
初心者が迷いやすいのが、ジャンカと表面気泡の違いです。
大まかには、
ジャンカ
→ 粗骨材が目立ち、空隙がある
表面気泡
→ 型枠に接していた面に、小さな丸い穴がある
と覚えると見分けやすくなります。
ジャンカでは、粗骨材の間にモルタルが十分に行き渡っていない状態が生じています。
一方、表面気泡は、主に型枠面に残った気泡の跡が表面に現れたものです。
ただし、表面の見た目だけで内部の状態や影響まで判断することはできません。
砂すじとは?
型枠を外したとき、コンクリート表面に砂が筋のように現れることがあります。
これが砂すじです。
砂すじには、コンクリート内部を移動するブリーディング水や、型枠の隙間からのモルタル分の漏れ、締固めなどの施工条件が関係します。
その結果、型枠に接していたコンクリート表面に砂が筋状に現れることがあります。
砂すじを確認した場合は、
- どの位置に発生しているか
- どの程度の範囲か
- 型枠に隙間などがなかったか
- 締固めはどのように行ったか
など、施工時の状況も確認します。
コールドジョイントとは?
コンクリートは、先に打ち込んだコンクリートの上へ、新しいコンクリートを順番に打ち重ねながら施工することがあります。
このとき、打重ねまでに時間がかかり、先に打ち込んだコンクリートが固まり始めたあとに新しいコンクリートを打ち重ねると、上下のコンクリートが十分に一体化しないことがあります。
これがコールドジョイントです。
打重ね線が見えたらコールドジョイント?
ここは初心者が誤解しやすいところです。
打重ね部分に線が見えるからといって、それだけでコールドジョイントとは判断できません。
コンクリートを層状に打ち込めば、表面に打重ね線が見える場合があります。
重要なのは、先に打ち込んだコンクリートと後から打ち込んだコンクリートが、適切な施工によって一体化しているかどうかです。
そのため、見た目だけでなく、
- 打重ねまでにどの程度時間がかかったか
- 先に打ち込んだコンクリートの状態
- 打重ね部をどのように締め固めたか
- コンクリートの供給が途中で止まっていなかったか
など、施工状況も合わせて確認します。
施工前には、打込み順序や打重ね時間、生コンの供給方法などを計画しておくことが重要です。
なお、計画的に設ける「打継ぎ」と、施工上の不具合として生じる「コールドジョイント」は別のものです。
違いや施工方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉 コンクリートの打継ぎとは?レイタンス処理・チッピング・コールドジョイントを初心者向けに解説
初期欠陥を見つけたら、すぐ補修していい?
型枠を外してジャンカやひび割れを発見すると、
「とりあえずきれいに補修しよう」
と思うかもしれません。
しかし、補修する前に元の状態を確認・記録することが必要です。
補修してしまうと、どこにどの程度の欠陥があったのか確認できなくなることがあります。
基本的な流れは、
① 初期欠陥を発見する
↓
② 発生位置・範囲・状態を確認する
↓
③ 写真などで記録する
↓
④ 原因や構造物への影響を確認する
↓
⑤ 必要な報告・協議を行う
↓
⑥ 補修などの対応を決める
と考えると分かりやすいでしょう。
施工者は何を確認する?
施工者側では、欠陥そのものを見るだけではなく、その場所をどのように施工したかまで振り返ります。
たとえばジャンカなら、
- コンクリートの打込み方法
- バイブレータの使用状況
- 配筋の状態
- 型枠の状態
- 生コンの状態
などを確認します。
コールドジョイントが疑われる場合は、打込み記録や生コン車の到着状況などから、打重ねまでにどの程度時間がかかったのか確認することもあります。
発注者は何を見る?
発注者側でも、
「見た目が悪いから補修してください」
だけで終わらせるのではなく、
- どこに発生したか
- どの程度の範囲か
- 構造物のどの部分なのか
- 原因として何が考えられるか
- 提案された補修方法は適切か
などを確認します。
必要に応じて、設計図書、施工計画書、施工記録、写真などとも照合します。
補修の要否や方法は、欠陥の種類、範囲、深さ、発生位置、構造物に求められる性能などを踏まえて判断します。
そのため、見た目だけで補修方法を決めるのではなく、状態を把握してから対応を検討することが基本です。
初期欠陥はどうすれば防げる?
初期欠陥は、
「最後にバイブレータをしっかりかければ防げる」
というものではありません。
コンクリートが現場に届いてから、打込み、締固め、打重ね、養生まで、施工全体で品質を確保する必要があります。
たとえばジャンカなら、
配筋・型枠を確認する
↓
コンクリートを適切に打ち込む
↓
十分に締め固める
という流れが重要です。
初期ひび割れなら、ひび割れの種類によって対策は異なりますが、打込み後の急激な乾燥を防ぐことや適切に養生することなどが重要になります。
コールドジョイントなら、施工前に打込み順序や打重ね時間を検討し、生コンを安定して供給できる施工計画を立てることが重要です。
コンクリート工事を一連の流れで理解したい人は、次の記事も参考にしてください。
👉 生コンの受入検査とは?スランプ・空気量・塩化物量など何を確認するのか解説
👉 コンクリートの打込み・締固めとは?ポンプ圧送からバイブレータまで初心者向けに解説
👉 コンクリートの養生とは?湿潤養生の方法と養生期間を初心者向けに解説
初期欠陥は、それまで行ってきた施工の結果がコンクリートの表面などに現れたものと考えると、コンクリート工事全体との関係が理解しやすくなります。
まとめ|初期欠陥は見た目だけで判断しない
コンクリートの代表的な初期欠陥には、ジャンカ、初期ひび割れ、表面気泡、砂すじ、コールドジョイントなどがあります。
初心者はまず、
粗骨材がむき出しになり、空隙がある → ジャンカ
線状に割れている → 初期ひび割れ
小さな丸い穴がある → 表面気泡
砂が筋状に見える → 砂すじ
といった代表的な見た目を知っておくと、現場で異常に気付きやすくなります。
ただし、見た目だけで欠陥の種類や程度、原因、補修方法まで決めることはできません。
特に打重ね部分に線が見えていても、それだけでコールドジョイントとは判断できません。
初期欠陥を発見したら、位置・範囲・状態を確認して記録し、施工状況や設計図書などと照らし合わせるところから始めます。
そして、
「なぜ締固めが必要なのか」
「なぜ打重ね時間を管理するのか」
「なぜ打設後に養生するのか」
まで理解できると、初期欠陥だけでなくコンクリート施工そのものへの理解も深まります。
関連記事
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出典・参考資料
国土交通省|令和8年度 土木工事共通仕様書(第1編 第3章 第6節 運搬・打設)
コンクリートの打込み、締固め、上下層を一体化する締固め、沈下ひび割れへの処置、養生など、初期欠陥の防止に関係する基本的な施工方法を確認しています。
国土交通省 東北地方整備局|コンクリート構造物の品質確保の手引き(案)
脱型後のコンクリートについて、沈みひび割れ、表面気泡、打重ね線、型枠継ぎ目のノロ漏れ、砂すじなどの表層状態と、施工時の確認事項を確認しています。
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