生コン車が現場に到着して、スランプ試験などの受入検査が終わった。
※この受入検査では、スランプや空気量、コンクリート温度などを確認します。まだ受入検査の流れが分からない場合は、先に「生コンの受入検査とは?スランプ・空気量・塩化物量など何を確認するのか解説」を読むと、このあとの施工までつながりやすくなります。
では、そのコンクリートはどうやって構造物になるのでしょうか。
一般的なコンクリート工事では、
生コン車 → ポンプ圧送 → 打込み → バイブレータによる締固め
という流れで施工します。
打込みは「型枠にコンクリートを入れるだけ」、締固めは「バイブレータで振動させるだけ」に見えるかもしれません。
しかし、打込み方や締固め方が悪ければ、材料分離や充填不足が起こり、コンクリートの品質に影響します。
この記事では、初めてコンクリート打設を見る人に向けて、ポンプ圧送から打込み・締固めまで、現場で何をしているのかを順番に解説します。
コンクリートの「打込み」と「締固め」とは?
まずは言葉を整理しておきましょう。
打込みとは、生コンクリートを型枠の中の目的の位置へ入れる作業です。
そして、打ち込んだコンクリートにバイブレータなどで振動を与え、**鉄筋の周囲や型枠の隅まで行き渡らせる作業が「締固め」**です。
現場では「今日はコンクリートを打設する」とよく言います。
「打設」は、コンクリートを型枠に入れて施工する作業全体を指して使われることが多く、その中に打込みや締固めなどの作業があります。
国土交通省の土木工事共通仕様書でも、コンクリートは速やかに運搬し、直ちに打ち込み、十分に締め固めることが規定されています。
生コンはポンプ車で打込み場所まで送る
現場へ運ばれてきた生コンは、アジテータ車から直接型枠へ流し込めるとは限りません。
橋台や擁壁などでは、アジテータ車と打込み場所が離れていることもあります。
そこで多くの現場で使われるのがコンクリートポンプ車です。
アジテータ車からポンプ車のホッパーへ生コンを投入し、ポンプの力で配管やブームを通して打込み場所まで圧送します。
アジテータ車
↓
ポンプ車のホッパー
↓
ポンプで圧送
↓
配管・ホース
↓
型枠へ打込み
この「現場の中でコンクリートを運ぶ作業」がポンプ圧送です。
スランプが低いとポンプで送りにくくなる
ここで関係してくるのが、受入検査でも確認するスランプです。
スランプが小さいコンクリートは硬く、流動性が小さくなります。そのため、一般にスランプが低くなるほどポンプによる圧送が難しくなります。
硬いコンクリートを長い配管の中へ無理に送ろうとすれば、圧送に必要な負荷が大きくなり、条件によっては配管が閉塞する原因にもなります。
ただし、
「スランプが○cm以下ならポンプで送れない」
とスランプだけで判断するものではありません。
ポンプ圧送性には、スランプのほかにも、
- コンクリートの配合
- 単位粉体量
- 細骨材率
- 骨材
- 配管径
- 圧送距離
- 曲管や鉛直配管
- 吐出量
- ポンプの能力
などが関係します。
ここで出てくる単位粉体量や細骨材率などは、コンクリートの配合に関係する言葉です。水・セメント・骨材の割合がどのように決まるのかは、「コンクリートの配合とは?水セメント比・単位水量から配合表ができるまでを解説」で解説しています。
国土交通省の技術資料でも、ポンプ圧送では作業に適したスランプを確保するとともに、管内閉塞を起こさない分離抵抗性が必要とされています。ポンプの種類や圧送管径、圧送距離なども含めて圧送条件を検討する考え方です。
ポンプで送るとスランプが低下することもある
もう一つ知っておきたいのが、ポンプ圧送によってスランプが低下する場合があることです。
考えるべきなのは、ポンプ車へ入れる時点のスランプだけではありません。
実際に配管の先から出てきたコンクリートが、鉄筋の間や型枠の隅まできちんと施工できる状態である必要があります。
そのため、
打込みに必要なスランプ
+
ポンプ圧送などで生じるスランプ低下
を考えて、荷卸し時の目標スランプを設定するという考え方があります。国土交通省の監督職員向け資料でも、打込みに必要な最小スランプを基準として、現場内運搬によるスランプ低下などを考慮して荷卸し時の目標スランプを設定する考え方が示されています。
だから受入検査でスランプを確認することは、その後の**「ちゃんと施工できるコンクリートか」**にもつながっています。
コンクリートはできるだけ打込み場所の近くへ
ポンプの筒先まで生コンが来たら、いよいよ型枠の中へ打ち込みます。
ここでやってはいけないのが、離れた場所へコンクリートを落として、そこから横へ流して目的の場所まで移動させる施工です。
国土交通省の土木工事共通仕様書でも、打設したコンクリートを型枠内で横移動させないことが規定されています。
そのため、ポンプの筒先を移動させながら、必要な場所の近くへ順番に打ち込んでいきます。
また、高い位置からドサッと落とすのも避けます。
高いところから落下させると、モルタル分と粗骨材が分かれる材料分離を起こしやすくなるためです。
国土交通省の土木工事共通仕様書では、シュートやポンプ配管などの吐出口から打込み面までの自由落下高さを1.5m以下としています。
型枠が高い場合には、ポンプの吐出口を打込み面近くまで下げるなどして施工します。
コンクリートは層に分けながら打ち込む
高さのある構造物にコンクリートを打つ場合、一気に上まで入れてから最後にバイブレータをかけるわけではありません。
打込み → 締固め → さらに上へ打込み → 締固め
というように、層をつくりながら施工していきます。
一層の高さは、使用するバイブレータの締固め能力などを考慮して決めます。国土交通省の土木工事共通仕様書でも、締固め能力等を考慮して一層の高さを定め、一区画内の打上り面がほぼ水平になるよう施工することが求められています。
この「一層ずつ打ち込む」という考え方は、次のバイブレータによる締固めにも関係します。
バイブレータでコンクリートを締め固める
打ち込んだコンクリートには、通常、棒状バイブレータを挿入して振動を与えます。
目的は、コンクリートを鉄筋の周囲や型枠の隅まで行き渡らせ、内部の余分な空気を減らして密実な状態にすることです。
特に鉄筋が密集している場所では、コンクリートが鉄筋の間を通って十分に充填されているか注意が必要です。
締固めが不足すると、粗骨材が集まり、モルタルが十分に回っていない**豆板(ジャンカ)**などの施工不良につながります。
バイブレータは下の層にも10cm程度入れる
二層以上に分けてコンクリートを打ち込む場合は、上の層だけを振動させるのではありません。
国土交通省の土木工事共通仕様書では、棒状バイブレータを下層のコンクリートへ10cm程度挿入し、上層と下層が一体となるよう締め固めることが規定されています。
イメージすると、
新しく打ち込んだ層
↓
──────
↓ バイブレータ
────── ← 層の境界
↓ 約10cm
すでに打ち込んだ下の層
という状態です。
上の層と下の層の境目までしっかり締め固め、一体のコンクリートにしていきます。
バイブレータはコンクリートを移動させる道具ではない
バイブレータをかけると、コンクリートが柔らかくなったように動きます。
すると、
「バイブレータを使って横へ流せば楽なのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、バイブレータの役割はコンクリートを横へ運ぶことではなく、打ち込んだコンクリートを締め固めることです。
ポンプの筒先からできるだけ目的の位置へ打ち込み、そこで締め固めます。
また、振動を長く与えればよいというものでもありません。
締固め不足は避けなければなりませんが、過度な振動は材料分離につながるため、コンクリートの状態を見ながら適切に締め固めます。
鉄筋が密集していて通常のバイブレータでは施工しにくい場所では、鉄筋径やピッチを踏まえて使用するバイブレータや施工方法を検討し、施工計画書に記載することも国土交通省の仕様書で求められています。
コンクリートの打込みには時間制限がある
コンクリートは工場で練り混ぜた瞬間から、少しずつ状態が変化していきます。
そのため、生コン車が現場に到着したら、いつまでも置いておけるわけではありません。
国土交通省の令和8年3月版「土木工事共通仕様書(案)」では、原則として次の時間が規定されています。
| 条件 | 時間 |
|---|---|
| 練混ぜ開始→荷卸し地点到着 | 1.5時間以内 |
| 練混ぜ→打ち終わり(日平均気温25℃以下) | 2時間以内 |
| 練混ぜ→打ち終わり(日平均気温25℃超) | 1.5時間以内 |
現場では「生コン車が到着した時刻」だけを見るのではなく、いつ練り混ぜたコンクリートなのかも確認する必要があります。
また、日平均気温が25℃を超えることが予想される場合は暑中コンクリート、4℃以下が予想される場合は寒中コンクリートの規定が関係します。
夏と冬で打込みや養生の方法がどう変わるのかは、「暑中・寒中コンクリートとは?夏と冬で施工方法が変わる理由を初心者向けにわかりやすく解説」で解説しています。
打込み・締固めでは何を確認する?
初めてコンクリート打設に立ち会うと、
「バイブレータを使っているから大丈夫そう」
「生コンが型枠に入っていればいいのかな?」
と、何を確認すればよいのか分かりにくいものです。
打込み・締固めでは、完成したコンクリートだけを見るのではなく、打込み前・打込み中・締固めのそれぞれで確認することがあります。

打込み前|準備ができているか
コンクリートは、一度打ち込むと内部の鉄筋や型枠の中を簡単には確認できなくなります。
そのため、まずは打込み前の確認が重要です。
主に確認したいのは、
- 型枠や鉄筋が設計図書どおりに配置されているか
- 鉄筋が正しい位置に固定されているか
- 型枠内に木くず、泥、ゴミなどが残っていないか
- コンクリートと接して吸水するおそれのある部分が適切に湿らされているか
- ポンプ車やバイブレータなど、施工に必要な機械が準備されているか
- 生コン車の搬入経路や荷卸し場所に問題がないか
- 打込み順序や一層の高さなどが施工計画と合っているか
といったところです。
国土交通省の土木工事共通仕様書でも、打込み前に型枠・鉄筋等が設計図書どおり配置されていることを確認し、打設場所の清掃や鉄筋の固定などを行うことが求められています。
発注者側であれば、**「これから見えなくなる部分に問題がないか」**という視点で確認すると分かりやすいでしょう。
打込み中|どこから、どのように入れているか
コンクリートの打込みが始まったら、筒先から生コンが出ているところを何となく眺めるのではなく、コンクリートをどこへ、どのように入れているかを見ます。
まず確認したいのが、ポンプの筒先と打込み位置です。
筒先から離れた場所へコンクリートを落として、バイブレータなどで横へ流していないか確認します。
また、高い位置からコンクリートを落とすと材料分離を起こしやすくなります。
国土交通省の土木工事共通仕様書では、シュートやポンプ配管などの吐出口から打込み面までの自由落下高さは1.5m以下とされています。
さらに、
- 一区画の一層を途中で止めず連続して打ち込んでいるか
- 打上り面がほぼ水平になるよう施工しているか
- 一層の高さが施工計画どおりになっているか
- 粗骨材とモルタルが分かれるなど、著しい材料分離が起きていないか
も確認します。
「コンクリートが入っているか」だけでなく、完成したときに均一なコンクリートになるよう打ち込まれているかを見るわけです。
ブリーディング水がたまっていないか
打込み中には、コンクリートの表面に水が浮いてくることがあります。
これがブリーディング水です。
下の層の表面にブリーディング水がたまった状態で、その上から次のコンクリートを打ち重ねるのは避けなければなりません。
国土交通省の土木工事共通仕様書でも、打込み中に表面にブリーディング水がある場合は、取り除いてから次のコンクリートを打つことが規定されています。
特に高さのある壁や柱では、1回の打込み高さや打上り速度にも注意します。
締固め|バイブレータを「使っているか」ではなく「効いているか」
締固めで確認したいのは、バイブレータを使用しているという事実だけではありません。
見るべきなのは、
コンクリートが鉄筋の周囲や型枠の隅まできちんと行き渡っているか
です。
鉄筋が密集している場所、型枠の隅、狭い部分などは、特にコンクリートが入りにくくなります。
そのため、
- 打込み後、速やかに締め固めているか
- 鉄筋の周囲までコンクリートが充填されているか
- 型枠の隅までコンクリートが行き渡っているか
- バイブレータを使ってコンクリートを横へ移動させていないか
- 締固め不足になっていないか
- 過度な振動で材料分離を起こしていないか
などを見ます。
特に鉄筋が密集している場所は要注意です。
国土交通省の土木工事共通仕様書では、狭い場所や鉄筋が過密な場所では、鉄筋径や鉄筋の間隔に応じたバイブレータを使用し、その締固め方法を施工計画書に記載することが求められています。
「バイブレータが鉄筋の間に入らない」という状況になってから考えるのではなく、施工前にどう締め固めるか決めておくわけです。
2層以上に分ける場合|下の層と一体になっているか
コンクリートを何層かに分けて打ち込む場合は、層と層の境目も確認します。
上の層は、下の層が固まり始める前に打ち込みます。
さらに締固めでは、バイブレータを下の層へ10cm程度挿入して、上下のコンクリートが一体になるようにします。
ここは、
「上のコンクリートだけバイブレータをかけていないか?」
を見ると分かりやすいでしょう。
なお、ここで説明しているのは、下のコンクリートがまだ固まらないうちに次の層を施工する「打重ね」です。すでに固まったコンクリートへ新しいコンクリートを施工する「打継ぎ」とは扱いが異なります。
この違いや打継面の処理、レイタンス、コールドジョイントについては、「コンクリートの打継ぎとは?レイタンス処理・チッピング・コールドジョイントを初心者向けに解説」で解説しています。
型枠や鉄筋に異常がないかも見る
コンクリートそのものだけを見ていればよいわけではありません。
生コンクリートには重量があるため、打込みが進むにつれて型枠には圧力がかかります。
施工中は、型枠や支保工に変形や異常がないかにも注意します。
また、打込みや締固めによって、事前に確認した鉄筋などが動いてしまっていないかも見ておきます。
特に高さのある構造物では、コンクリートを一気に打ち上げるのではなく、施工計画で決めた打込み高さや打上り速度で施工されているか確認します。
発注者は施工計画書と現場を照らし合わせる
発注者が現場で確認するときに分かりやすいのが、施工計画書と実際の施工を照らし合わせることです。
たとえば、
「一層の打込み高さはどう計画している?」
「どのバイブレータを使用する?」
「鉄筋が密集している場所はどう締め固める?」
「どの順番で打ち込む?」
といった内容を施工前に確認しておけば、現場で見るべき場所が分かります。
打込み当日に初めて施工方法を考えるのではなく、
施工前:どう施工する予定か確認する
↓
施工中:計画どおり施工されているか確認する
↓
施工後:充填不足などの異常がないか確認する
という流れで見ると、コンクリート打設の監督がかなり理解しやすくなります。
打込み・締固めが終わったら「養生」が始まる
コンクリートは打ち終われば完成、ではありません。
打込みと締固めが終わったコンクリートは、その後、必要な強度や耐久性を確保できるよう適切な温度や水分状態を保ちます。
これがコンクリートの養生です。
養生では、打込み後のコンクリートを乾燥や急激な温度変化などから守り、硬化に必要な水分や温度を確保します。具体的な湿潤養生の方法や養生期間は、「コンクリートの養生とは?湿潤養生の方法と養生期間を初心者向けに解説」で解説しています。
コンクリート工事を大きな流れで見ると、
配合を決める
↓
生コンを製造・運搬する
↓
受入検査
↓
ポンプ圧送
↓
打込み
↓
締固め
↓
養生
とつながっています。
一つひとつを別々の作業として覚えるより、**「品質を確認した生コンを、材料分離させず目的の場所へ運び、隅々まで充填し、その後きちんと硬化させる」**という一連の流れで理解すると、現場で何を確認しているのかが分かりやすくなります。
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出典・参考資料
国土交通省|令和8年度 土木工事共通仕様書(案)「第1編第3章第6節 運搬・打設」
コンクリートの運搬時間、打込み、自由落下高さ1.5m以下、横移動の禁止、連続打設、締固め、下層へのバイブレータ10cm程度の挿入などを確認。
国土交通省|令和8年度 土木工事共通仕様書(案)「第1編第3章第7節 鉄筋工」
コンクリート打込み前の鉄筋の位置、泥・油などの付着状況の点検・清掃、打込み・締固めに必要な空間の確保などを確認。
国土交通省 四国地方整備局|監督職員のためのコンクリート工事ポケットブック(案)
コンクリートの施工状態を確認する際のチェック項目や、打込み・締固め、ポンプ圧送など施工上の留意点を確認。
国土交通省 東北地方整備局|コンクリート構造物の品質確保の手引き(案)
打込み・締固め時の施工状況の確認や、施工方法とコンクリート表層品質との関係を確認。



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