公共工事を担当していると、
「この材料は監督職員の確認を受けてください」
と言われることがあります。
初めて材料確認をする人なら、
「何を確認すればいいの?」
「規格?大きさ?数量も数える?」
「監督職員が現場まで見に来るの?」
と迷うかもしれません。
材料確認では、工事で使用する材料が、設計図書で求められている品質や規格を満たしているか確認します。
この記事では、材料確認で実際に何を見るのか、施工者は何を準備するのか、監督職員はどう確認するのかを順番に見ていきます。
材料確認とは?
材料確認とは、工事で使用する材料が、設計図書などで求められている品質や規格に適合しているか確認することです。
例えば、道路工事でプレキャストコンクリート側溝を使用するとします。
設計図書には、使用する側溝の種類や規格などが示されています。
施工者は、それに合った製品を手配して現場で使用します。
監督職員の確認が必要な材料であれば、製品の表示や品質を証明する資料などを使って、設計図書で求められているものと実際に使用する材料を照らし合わせます。
なお、工事で使用するすべての材料について、監督職員が一つずつ確認するわけではありません。
受注者は、試験成績表や性能試験結果、ミルシートなど、材料の品質を証明する資料を整備・保管します。
そのうえで、設計図書などで監督職員の確認等が必要とされている材料について確認を受けます。
材料確認では何を確認する?
確認する内容は材料によって変わります。
例えば、次のような項目です。
| 確認項目 | 例えば何を見る? |
|---|---|
| 種類 | 設計で求められている材料・製品か |
| 規格 | JIS、製品規格、型式など |
| 寸法・形状 | 幅、高さ、長さ、形状など |
| 品質 | 試験成績表、ミルシートなど |
| 外観 | 破損、変形、製品表示など |
プレキャストコンクリート側溝なら、製品表示や品質を証明する資料などから、設計図書で求められている製品か確認します。
必要があれば、寸法や外観も確認します。
材料確認の内容は、すべての材料で同じではありません。
まず設計図書を確認して、使用する材料にどんな品質や規格が求められているのかを把握します。
そこから、現物を見るのか、品質証明資料を見るのか、寸法を測るのかといった確認方法を決めていきます。
数量も材料確認で確認するの?
材料確認というと、搬入された材料の数量まで監督職員が数えるイメージがあるかもしれません。
通常の材料確認では、搬入された材料をすべて数えて設計数量と照合するような確認は行いません。
ただ、施工後に数量や使用量を確認できなくなるものでは、施工途中で確認や記録を行うことがあります。例えば、海中に据え付ける消波ブロックなどです。この場合、材料確認ではなく、出来形管理や施工状況の確認、立会などとして扱われることもあります。
品質はどうやって確認する?ミルシートとは?
材料によっては、見ただけでは品質が分かりません。
鉄筋を見ても、その鋼材が必要な強度を持っているか、どの規格に適合しているかまでは外観だけでは判断できません。
そこで使うのが、試験成績表や性能試験結果などの品質を証明する資料です。
鋼材では、ミルシートという言葉がよく出てきます。
ミルシートとは、簡単にいうと鋼材の品質を製造メーカーが証明する書類です。
鋼材の種類などによって記載内容は異なりますが、規格や化学成分、機械的性質、製造・識別に関する情報などが記載されています。
国土交通省の土木工事共通仕様書でも、試験成績表や性能試験結果とともに、ミルシートが品質規格証明書類の例として挙げられています。
確認するときは、書類の内容だけでなく、そのミルシートが実際に使用する鋼材のものなのかも見ます。
設計図書、品質証明資料、実際に使用する材料。
この3つを照らし合わせるイメージです。
監督職員はどうやって材料を確認する?
材料確認と聞くと、監督職員が現場へ来て、搬入された材料を一緒に見る場面を思い浮かべる人も多いでしょう。
実際に、現場で材料の表示や外観、品質証明資料などを確認することがあります。
一方で、確認方法はそれだけではありません。
材料や確認内容、発注機関の運用などによっては、資料や写真などを使って確認することもあります。
現在は遠隔臨場を利用した材料確認も行われています。
現場側のカメラで材料や表示などを映し、その映像と音声を監督職員へリアルタイムで送ります。監督職員は事務所などから確認できるため、現場まで移動しなくても材料確認を行えます。
どの方法で確認するかは、材料や確認内容、設計図書、仕様書、発注機関の運用などによって変わります。
材料を工場まで確認しに行くこともある?
製品によっては、製造工場で確認することもあります。
特に特殊な製品や工場製作品などでは、現場へ搬入されてからでは確認できない項目があるため、製作中や出荷前に工場で確認するケースがあります。
また、JIS規格外の製品などを使用する場合には、設計で求められている品質を満たしていることを、試験成績表などの資料や試験結果から確認する必要があります。工事や製品によっては、工場で確認したり試験に立ち会ったりすることもあります。
一方、JISマーク表示品には、その製品が該当するJISに適合していることを確認する認証の仕組みがあります。
国土交通省の共通仕様書でも、JISマーク表示品については、JISマークの表示状態を示す写真等の確認資料によって、品質規格証明書類の提示に代えることができる場合があります。
工場へ行くかどうかは、JIS製品かどうかだけで決まるものではありません。製品の種類や確認する内容によって変わります。
また、橋梁やPC桁、機械設備などの工場製作品では、製作途中の確認や試験、仮組立時の確認などを工場で行うことがあります。
現場ではまとめて「工場検査」と呼ばれることもありますが、手続き上は材料確認、段階確認、立会、検査などに分かれる場合があります。
コンクリートの配合計画書も材料確認?
生コンクリートも工事で使用する材料ですが、側溝や鉄筋とは確認の仕方が少し違います。
例えばJISマーク表示されたレディーミクストコンクリートを使用する場合、施工者は工場から発行された配合計画書や納入書を整備・保管します。
配合計画書は、どのようなコンクリートを使用する予定なのかを確認するための資料です。
施工時には、スランプ、空気量、強度などの試験も行います。
そのため、生コンクリートについては、配合計画書や納入書、施工時の試験結果などを組み合わせて品質を確認していくと考えると分かりやすいでしょう。
設計よりいい材料なら使っていい?
施工者から、
「設計より性能の高い製品があるので、こちらを使いたい」
と提案されることもあります。
国土交通省の共通仕様書では、設計図書に品質規格が特に明示されている場合を除き、共通仕様書に示す規格に適合するもの、または同等以上の品質を有するものを使用することとされています。
ただし、性能が高ければ施工者の判断だけで何にでも変更できる、という意味ではありません。
設計図書で材料や規格が指定されていることもありますし、製品を変更すると寸法や施工方法などに影響することもあります。
別の材料を使いたい場合は、まず設計図書や仕様書を確認します。
協議や承諾などが必要な変更であれば、使用する前に監督職員と確認しておきましょう。
JISって何?
材料確認では「JIS」という言葉がよく出てきます。
JISは日本産業規格のことで、製品の品質や性能、寸法、試験方法などについて定められた国家規格です。
土木工事で使用する材料にも、さまざまなJIS規格があります。
また、登録認証機関による認証を受けた事業者は、認証を受けた範囲の製品などにJISマークを表示できます。
材料確認では、設計図書で求められている規格と、実際に使用する製品の規格を照らし合わせます。
JISマークも、その確認に使う情報の一つです。
まとめ
材料確認では、まず設計図書で使用する材料に何が求められているのかを確認します。
そのうえで、製品の表示、寸法、外観、試験成績表、ミルシートなど、材料に応じた方法で品質や規格を確認します。
数量については、通常の材料確認で搬入材料をすべて数えるわけではありません。ただし、施工後に数量や使用量を確認できなくなるものでは、施工途中の確認や記録が必要になることがあります。
監督職員の確認方法も、現場確認だけではなく、資料や写真、遠隔臨場、工場での確認などさまざまです。
最初から確認項目を決めつけず、
「設計図書では、この材料に何を求めているのか」
ここから確認を始めると、材料確認で見るべきところが整理しやすくなります。
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出典・参考資料
この記事は、国土交通省が公開している土木工事共通仕様書などを参考に作成しています。
国土交通省|土木工事共通仕様書
工事材料の品質、品質規格証明書類、JISマーク表示品、材料の確認、レディーミクストコンクリートの配合計画書などについて確認できます。
国土交通省|建設現場における遠隔臨場
材料確認・段階確認・立会などを、映像と音声を利用して遠隔で行う「遠隔臨場」について参考にしています。
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経済産業省|JIS(日本産業規格)
JIS(日本産業規格)やJISマーク制度については、経済産業省の情報を参考にしています。
東京都水道局|工事材料検査関係
施工後に数量確認が容易な材料と、施工後では確認が難しく検量などによる数量確認を行う材料の考え方を参考にしています。
※公共工事の材料確認の方法や提出・確認が必要な書類は、発注機関、工事内容、適用する共通仕様書・特記仕様書などによって異なります。実際の工事では、その工事に適用される設計図書や各発注機関の基準を確認してください。



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