道路工事などで、山や地盤を大きく削っているのを見たことはありませんか?
このように、**地盤の土砂や岩などを掘り下げる作業を「掘削(くっさく)」**といいます。
ひとことで掘削といっても、広い場所で重機を使って掘る場合もあれば、山の斜面など限られたスペースで掘る場合もあります。
そのため、公共工事の積算では施工する場所の形や条件によって、**「オープンカット」や「片切掘削」**などに区分して考えます。
では、この2つは何が違うのでしょうか?
この記事では、オープンカットと片切掘削の違いと、なぜ積算上で分けられているのかを図解でわかりやすく解説します。
オープンカットと片切掘削の違い
オープンカットと片切掘削の大きな違いは、掘削する場所の形状と施工条件です。
| オープンカット | 片切掘削 | |
|---|---|---|
| イメージ | 広い切取面で施工 | 山腹など狭い切取面で施工 |
| 切取幅 | 5m以上を標準 | 5m未満の領域 |
| 延長 | 20m以上を標準 | ― |
| 施工 | 機械主体 | 人力併用機械掘削 |
国土交通省の土木工事数量算出要領では、オープンカットは、切取面が水平または緩傾斜となるよう施工でき、切取幅5m以上かつ延長20m以上を標準としています。
一方、片切掘削は、切取幅5m未満の領域を施工する場合です。

図で見ると、オープンカットは重機が作業できる比較的広い施工面があるのに対し、片切掘削は山腹などの狭い場所で施工するイメージです。
ただし、「5m未満なら必ず片切掘削」と判断するわけではありません。
この点は後ほど説明します。
掘削と似た言葉に「床掘り」があります。
どちらも土を掘る作業ですが、床掘りは水路や擁壁などの構造物をつくるために掘り、施工後に埋戻しを伴う箇所として扱われます。
「掘削と床掘りは何が違うの?」という方は、床掘りとは?掘削との違いを図解でわかりやすく解説で詳しく解説しています。
なぜ積算上で分けるの?
「切取幅が違うから、積算を分けているだけでは?」
と思うかもしれません。
ポイントは、想定されている施工方法が違うことです。
オープンカットは、比較的広い場所でバックホウなどの機械を主体に施工できます。
一方、片切掘削は山腹など作業スペースが限られるため、機械だけでは施工しにくくなります。
国土交通省の標準歩掛では、片切掘削を**「人力併用機械掘削」**として扱い、機械だけでなく普通作業員も見込まれています。
つまり、
施工条件が違う
↓
必要な機械や人員が違う
↓
積算も分けられている
と考えると分かりやすいでしょう。
もう一つ、土工の積算で知っておきたいのが「土量」です。
掘削では基本的に「地山の土量」を使いますが、掘った土はほぐれ、盛土として締め固めると再び体積が変わります。
掘削・運搬・盛土でどの土量を使うのか迷ったら、土量変化率とは?土工の積算で迷う「地山・ルーズ・締固め」を図解でわかりやすく解説で整理しています。
5m未満なら必ず片切掘削?
ここは積算するときに注意したいポイントです。
切取幅5m未満=必ず片切掘削、ではありません。
国土交通省の数量算出要領では、切取幅が5m未満となる箇所でも、地形や工事量などの現場条件を十分考慮し、オープンカットが可能と判断される場合はオープンカットを適用するとされています。
そのため、
「5m以上か?」
「延長20m以上か?」
という数字だけで機械的に判断するのは避けましょう。
「切取幅5m以上・延長20m以上」はオープンカットの標準的な施工形状を示すものです。
実際の積算では、地形や工事量などの現場条件を確認し、どのような施工方法になるのかを考えることが大切です。
実際の工事では、積算だけでなく「現場でどのように施工するのか」を施工前に整理することも必要です。
施工手順や使用機械などを施工計画書にどう記載するのかは、施工計画書の施工方法の書き方|発注者はここを見るで解説しています。
まとめ|数字だけでなく施工方法を確認しよう
掘削とは、地盤の土砂や岩などを掘り下げることです。
その中でも、
オープンカット
→ 比較的広い場所で機械主体で掘削する
片切掘削
→ 山腹など狭い場所で人力を併用して機械掘削する
という違いがあります。
積算するときは「5m」「20m」という数字だけを見るのではなく、
「この場所では、実際にどのような施工になるのか?」
まで考えて判断するのがポイントです。
※積算基準や適用条件は改定されることがあります。実際の積算では、適用する年度・発注機関の最新基準を確認してください。
出典・参考資料
この記事では、国土交通省の土木工事数量算出要領および土木工事積算基準関係資料を参考にしています。
- 国土交通省 中国地方整備局|土木工事数量算出要領(令和8年4月版)
掘削の「オープンカット」「片切掘削」などの区分について参考にしています。
国土交通省 中国地方整備局「技術管理資料提供システム」 - 国土交通省|土木工事積算基準関係
公共土木工事の積算基準に関する最新情報を確認できます。
国土交通省「土木工事積算基準関係」
※本記事は、国土交通省の令和8年度資料を参考に、初心者向けに内容を整理・解説したものです。実際の積算では、発注機関や工事によって適用する基準・要領等が異なる場合があります。当該工事に適用される最新の設計図書・積算基準・数量算出要領等をご確認ください。
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掘削と一緒に覚えておきたい土工の基本
構造物をつくるために土を掘るのが「床掘り」、施工後に土を戻すのが「埋戻し」、土を盛って地盤などをつくるのが「盛土」です。
似た言葉ですが、それぞれ意味や積算上の扱いが異なります。
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