暑中・寒中コンクリートとは?夏と冬で施工方法が変わる理由を初心者向けにわかりやすく解説

現場・施工管理

コンクリートは、暑すぎても寒すぎても施工が難しくなります。

夏は、コンクリートが早く固まり始め、乾燥しやすくなる。

冬は、固まるのが遅くなり、十分に強度が出る前に凍結するおそれがある。

そのため、暑い時期は「暑中コンクリート」、寒い時期は「寒中コンクリート」として、通常とは施工方法を変えます。

最初は、

夏 → 熱くしすぎない・早く施工する・乾かさない

冬 → 温度を確保する・保温する・凍らせない

と覚えておけば大丈夫です。

この記事では、暑中・寒中コンクリートになると通常の施工から何が変わるのかを中心に解説します。

暑中・寒中コンクリートとは?

暑中コンクリート、寒中コンクリートという名前を見ると、「夏用・冬用の特殊なコンクリート?」と思うかもしれません。

そうではなく、暑さや寒さによる影響を考えて施工するコンクリートです。

国土交通省の土木工事共通仕様書(案)では、通常のコンクリートは日平均気温が4℃を超え25℃以下になることが予想される場合を基本としています。

そこから、

  • 日平均気温が25℃を超えることが予想される → 暑中コンクリート
  • 日平均気温が4℃以下になることが予想される → 寒中コンクリート

として施工します。

「7月だから暑中」「1月だから寒中」という季節だけの区分ではなく、予想される日平均気温で判断するところを押さえておきましょう。

暑中コンクリート寒中コンクリート
判断の目安日平均気温25℃超日平均気温4℃以下
主な問題固まり始めるのが早い・乾燥しやすい強度が出るのが遅い・凍結のおそれ
施工で意識すること熱くしすぎない・早く施工する必要な温度を確保する
養生乾燥を防ぐ保温して凍結を防ぐ


暑中コンクリートでは何が変わる?

暑い時期はコンクリートの温度も上昇しやすく、固まり始めるまでの時間が短くなります。

さらに表面から水分が失われやすくなるため、通常よりも時間と温度、乾燥への注意が必要になります。

そのため暑中コンクリートでは、

①コンクリート温度を上げすぎない
②できるだけ早く打ち込む
③打込み後は乾燥させない

という対策を行います。

コンクリート温度を上げすぎない

暑中コンクリートでは、外の気温だけでなく、実際のコンクリート温度を確認します。

国土交通省の土木工事共通仕様書(案)では、打込み時のコンクリート温度の上限は、

所定の品質を確保できる場合:38℃
それ以外の場合:35℃

とされています。

ここで間違えやすいのが「25℃」との違いです。

25℃ → 暑中コンクリートとして施工するか判断する日平均気温

35℃・38℃ → 実際に打ち込むコンクリートの温度

です。

「外気温が35℃を超えたらコンクリートを打てない」という意味ではありません。

暑い時期には、材料をできるだけ低い温度に保ったり、直射日光を避けたりして、コンクリート温度の上昇を抑えます。

できるだけ早く打ち込む

暑い時期はコンクリートが固まり始めるのも早くなるため、時間管理が重要になります。

国土交通省の土木工事共通仕様書(案)では、暑中コンクリートは練混ぜから打設終了まで1.5時間以内(通常は2時間以内)とされています。

ここでいうスタートは、生コン車(アジテータ車)が現場に到着した時間ではありません。

生コン工場で練混ぜを開始してからです。

そのため施工前には、

「生コン工場から現場まで何分かかるか」

「現場に到着してから打込み開始まで待たせないか」

「予定した時間で打込みを終えられるか」

まで考えておく必要があります。

打込みの間隔が長くなると、先に打ち込んだコンクリートと後から打ち込んだコンクリートが一体化しにくくなり、コールドジョイントにつながることがあります。打重ね時間やコールドジョイントについては、コンクリートの打継ぎとは?レイタンス処理・チッピング・コールドジョイントを初心者向けに解説で解説しています。

通常の打込み手順やバイブレータによる締固めについては、コンクリートの打込み・締固めとは?ポンプ圧送からバイブレータまで初心者向けに解説で詳しく解説しています。

打込み後は乾燥させない

暑い日は、打ち込んだコンクリート表面から水分が失われやすくなります。

そのため、打込み後は速やかに養生へ移り、直射日光や風などによる乾燥を防ぎます。

また、型枠や地盤などが乾燥していてコンクリートの水分を吸収するおそれがある場合は、打込み前に散水などの対策を行います。

湿潤養生の方法や養生期間については、コンクリートの養生とは?湿潤養生の方法と養生期間を初心者向けに解説で詳しく解説しています。

寒中コンクリートでは何が変わる?

冬は夏とは反対です。

気温が低くなるとコンクリートの硬化が遅くなり、必要な強度が得られるまで時間がかかります。

さらに注意しなければならないのが、十分に硬化する前の凍結です。

この時期に凍結してコンクリートが損傷することを**「初期凍害」**といいます。

そのため寒中コンクリートでは、

①打込み時の温度を確保する
②雪や氷を取り除いてから打ち込む
③打込み後も保温して凍らせない

という対策を行います。

打込み時の温度を確保する

国土交通省の土木工事共通仕様書(案)では、寒中コンクリートの打込み時の温度を**5~20℃**としています。

真冬の現場でも、この範囲になるようにコンクリートの温度を確保して打ち込みます。

必要に応じて水や骨材を加熱して調整しますが、セメントを直接加熱してはいけません。

また、運搬中にもコンクリートの温度は下がるため、工場での温度だけでなく、現場で打ち込むときの温度を見る必要があります。

雪や氷を取り除いてから打ち込む

寒い時期には、型枠や鉄筋などに雪や氷が付着していることがあります。

そのままコンクリートを打ち込むのではなく、打込み前に氷雪を取り除きます。

また、凍結している地盤の上へそのまま打ち込むことも避けなければなりません。

夏は「型枠などが熱くなりすぎていないか」、冬は「雪や氷、凍結がないか」。

同じ打込み前でも、確認する内容が変わります。

打込み後も保温して凍らせない

寒中コンクリートは、打込み時の温度を確保すれば終わりではありません。

打込み後に気温が下がれば、コンクリートも冷えていきます。

そこで、シートなどで覆って熱を逃がしにくくしたり、必要に応じて養生囲いの内部を加温したりして、必要な強度が得られるまで凍結を防ぎます。

国土交通省の土木工事共通仕様書(案)では、養生期間中のコンクリート温度を5℃以上に保つことが基本とされています。

暑中・寒中コンクリートは現場で何を確認する?

ここまでの内容を、実際の工事で確認する順番にしてみましょう。

施工前

まず天気予報などから、施工予定日の気温を確認します。

暑中・寒中コンクリートになることが予想されるなら、施工当日になってから対応を考えるのではなく、施工計画書で施工方法や養生方法を確認しておきます。

暑中なら、

  • コンクリート温度をどう抑えるか
  • 運搬・打込みを時間内に終えられるか
  • 打込み後の乾燥をどう防ぐか

寒中なら、

  • 打込み温度をどう確保するか
  • 雪や凍結への対策をどうするか
  • 打込み後にどのように保温するか

などを確認します。

生コン到着時

現場へ生コンが到着したら、通常の受入検査に加えてコンクリート温度にも注意します。

スランプ・空気量・塩化物量・コンクリート温度など、現場で行う受入検査については、生コンの受入検査とは?スランプ・空気量・塩化物量など何を確認するのか解説で詳しく解説しています。

打込み・養生

施工中は、計画した時間や温度が守られているかを確認します。

そして打込みが終わったら、

暑中 → 乾燥させない

寒中 → 冷やさない・凍らせない

というそれぞれの目的に合わせて養生します。

発注者側も、単に「暑中対策あり」「寒中対策あり」と施工計画書を見るのではなく、なぜその対策を行うのかを理解して、実際の施工と照合すると確認しやすくなります。

4℃・25℃・35℃・38℃を整理

最後に、この記事に出てきた温度を整理しておきます。

温度何の数字?
日平均気温4℃以下寒中コンクリートとして施工する目安
日平均気温25℃超暑中コンクリートとして施工する目安
35℃所定の品質確保を確認していない場合の暑中コンクリートの打込み温度上限
38℃所定の品質を確保できる場合の暑中コンクリートの打込み温度上限
5~20℃寒中コンクリートの打込み時温度

初心者が特に間違えやすいのは、

4℃・25℃は「日平均気温」

5~20℃・35℃・38℃は「コンクリートの温度」

という違いです。

数字だけを覚えるのではなく、何の温度なのかまでセットで覚えておきましょう。

まとめ

暑中・寒中コンクリートでは、暑さや寒さによって品質が低下しないよう、通常とは施工方法を変えます。

まず覚えておきたいのは、この違いです。

暑中コンクリート

日平均気温25℃超が目安。

熱くしすぎない・早く施工する・乾かさない。

寒中コンクリート

日平均気温4℃以下が目安。

温度を確保する・保温する・凍らせない。

現場では施工日の気温だけでなく、打込み時のコンクリート温度、運搬・打込み時間、打込み後の養生方法まで確認します。

打込みや養生そのものの方法は別の記事で詳しく解説しています。暑中・寒中コンクリートでは、それらの通常施工から**「何を変えなければならないのか」**を理解しておくと、施工計画書や現場で確認すべき内容が分かりやすくなります。

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出典・参考資料

国土交通省|土木工事共通仕様書(案)令和8年3月
暑中・寒中コンクリートの適用気温、打込み時のコンクリート温度、運搬・打込み、養生などの施工基準を確認。第1編第3章第9節「暑中コンクリート」、第10節「寒中コンクリート」を参照。

土木学会|2023年制定 コンクリート標準示方書[施工編]
コンクリート施工および暑中・寒中コンクリートの基本的な考え方を確認。35℃を超える暑中コンクリートについても扱われています。

土木学会|コンクリートライブラリー167 暑中コンクリートの計画・設計・施工指針(案)
高温環境下における暑中コンクリートの計画・設計・施工と、35℃を超える場合を含む暑中対策の考え方を確認。

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