土工の積算をしていると、
「掘削は1,000m³、土砂等運搬も1,000m³なのに、盛土になると数量が違う」
「LとかCとか出てくるけど、何を掛ければいいの?」
「積込(ルーズ)って書いてあるから、ほぐした土量を使えばいいの?」
と混乱することがあります。
土工の数量がややこしい理由の一つが、同じ土でも「地山」「ほぐした状態」「締固め後」で体積が変わることです。
さらに積算では、工種によって「どの状態の土量を基準に数量を扱うか」がそれぞれ決められています。
工種名だけを見て、土の状態を判断すると計算を間違えることがあります。
特に数万m³、数十万m³という土を扱う工事では、小さな勘違いでも数量差が大きくなり取り返しのつかない積算ミスとなってしまうため、よく理解しておきましょう。
この記事では、
- 地山・ルーズ・締固め後とは何か
- L・Cとは何を表しているのか
- 積算ではどの土量を使っているのか
- 土質によって土量変化率がどう違うのか
- 積算で迷ったときにどう考えればいいのか
を順番に説明します。
土には「3つの状態」がある
まず、最初に知ってほしいのが、土には「3つの状態」があるということです。
地山の土量
まだなにも掘削していない、地面や山にある状態の土です。
掘る前の地形から計算した土量が、地山の土量になります。
国土交通省の積算資料では、地山の土量を「掘削すべき土量」として整理しています。
ほぐした土量
バックホウなどで地山を掘削すると、土はバラバラにほぐれます。
土そのものが増えるわけではありませんが、土粒子の間に空隙ができるため、掘削前より大きな体積になります。
この状態がほぐした土量となります。
「ルーズな状態」「ルーズ土量」と呼ばれることもあります。
国土交通省の積算資料では、ほぐした土量を「運搬すべき土量」として整理しています。
締固め後の土量
掘削した土を盛土として敷き均し、ローラーなどで締め固めると、土の体積は再び変化します。
砂質土などでは締め固めることによって、土粒子の間の空隙がなくなるため、地山の土量やほぐした土量よりも体積が小さくなります。
道路の路体や路床などで締め固めて完成した状態が、締固め後の土量となります。
国土交通省の資料では締固め後の土量を「出来上がりの盛土量」と整理されています。
土量変化率って何?LとCは何を表しているの?
先ほど解説した、地山、ほぐした土、締固め後の土をつなぐのが土量変化率です。
国土交通省の積算資料ではこの土量変化率を「L」と「C」で表現しています。
Lは地山からほぐした土への変化率
Lは、L = ほぐした土量 ÷ 地山土量 で求めます。
たとえば、地山の土を100m³を掘削した結果、ほぐした土が120m³出来たときに、
120 ÷ 100 = 1.2 で、
その土は土量変化率L=1.20の土であるということがわかります。
Cは地山から締固め後への変化率
Cは、C = 締固め後の土量 ÷ 地山土量で求めます。
たとえば、地山の土100m³が締固め後90m³の土量になった場合は、
90 ÷ 100 = 0.90 で、
その土は土量変化率C=0.90の土であるということがわかります。
LもCも地山土量を基準にしている
お気づきかと思いますが、LもCも地山土量を基準に計算しています。
砂・砂質土で、L=1.20、C=0.90という土砂があった場合、
地山の土量 1.00 m3
ほぐした土量 1.20 m3
締固め後の土量 0.90 m3
という関係になります。

土量変化率は土質によって違う
注意しないといけないのは、土量変化率は土質によって異なる点です。
国土交通省の積算基準では、「統一分類法により分類した土の各土質に応じた変化率は表 1 を標準とする。なお細分し難いときは表 2 を使用してよい。」となっています。


土工の積算では、工種によって使う土量が違う
ここまで「地山」「ほぐした土」「締固め後」の3つの状態と、土量変化率について説明してきました。
では、実際の積算ではどの土量を数量として使うのでしょうか。
ここが土工の積算で混乱しやすいところです。
たとえば、地山をバックホウで掘削してダンプトラックで運ぶ場合、ダンプに積まれている土はすでにほぐれています。
そのため、「土砂等運搬は、ほぐした土量で計算するのでは?」と思うかもしれません。
しかし、国土交通省の土工の積算では、実際に施工しているときの土の状態と、積算数量の基準が必ずしも一致していないんです。
まずは代表的な工種を整理してみます。
| 積算の工種 | 積算で使う土量 |
|---|---|
| 掘削 | 地山の土量 |
| 土砂等運搬 | 地山の土量 |
| 整地 | 地山の土量(※注1) |
| 積込(ルーズ) | 地山の土量(※注2) |
| 押土(ルーズ) | 地山の土量(※注2) |
| 路体(築堤)盛土 | 締固め後の土量 |
| 路床盛土 | 締固め後の土量 |
(※注1)整地は作業区分で残土受入れ地での処理を選択した場合の土量は地山の土量、敷均し(ルーズ)を選択した場合の土量は敷均し後の土量と記載があります。敷均し後の土量と新しいワードが出てきていますが、敷均しのみのため土量変化率は C=1.0と記載もあります。つまり、
C = 1.0 = 敷き均し後の土量 ÷ 地山土量となるため、敷き均し後の土量 = 地山土量となります。
そのため整地はどちらの作業区分を選択しても、地山の土量と考えていいです。
(※注2)積込(ルーズ)、押土(ルーズ)とルーズの記載がありながら、実は地山の土量で計上する必要があります。ここは間違えないよう注意が必要です。
床掘りと埋戻しは、どの状態の土量?
構造物をつくるときには、床掘りと埋戻しが積算で出てくることがあります。
実は国土交通省の作業土工(床掘工・埋戻工)の施工パッケージでは、今まで説明した掘削や土砂等運搬のように「土量は地山土量とする」と明記されていません。
床掘りと埋戻しも、土量の状態を意識すると理解しやすくなります。
床掘りは、構造物をつくるために地盤を掘る前の状態から計算する数量です。そのため、床掘り量は地山土量として考えます。
一方、埋戻しは、構造物を設置したあと、その周囲などに土を戻して締め固める部分の数量です。こちらは締固め後の土量として考えます。
この違いが分かりやすく表れるのが、残土量を求めるときです。
たとえば、床掘りの土量が1,000m³、埋戻しの土量が720m³だったとしても、
1,000-720=280m³ とそのまま残土量を計算することはできません。
床掘りと埋戻しでは土量の状態が違うため、まず埋戻し量を地山土量に換算してから比較します。
仮に、砂質土でC=0.90で考えるなら、
埋戻し720m³ × 1/C(1/0.90)=800m³(地山土量)
つまり、720m³の埋戻しを行うには、800m³の地山の土量がいるということです。
そのため残土量は地山の土量で床掘り1,000m³-埋戻しに必要な地山800m³=残土200m³となります。
国土交通省の土木工事数量算出要領でも、残土量を求める際は、埋戻し量に土量変化率を考慮して地山土量へ換算する考え方が示されています。
床掘りと埋戻しの数字を見比べるときは、「どちらもm³だからそのまま引ける」と考えず、地山と締固め後という土の状態の違いを確認すると計算ミスを防ぎやすくなります。
まとめ|まず「何の状態のm³?」を確認しよう
土量変化率で混乱したときは、LやCの数字を先に覚えようとせず、その数量がどの状態の土を表しているのかを確認してみてください。
土量には、地山の土量 → ほぐした土量 → 締固め後の土量という3つの状態があります。
Lは地山からほぐした状態への変化率、Cは地山から締固め後への変化率です。
さらに積算では、掘削や土砂等運搬は地山土量、路体・路床盛土は締固め後の土量など、工種によって数量の基準が違います。
そのため積算では、
①何の工種か → ②何の状態の土量か → ③何の状態へ換算するのか → ④土質に応じたL・Cを確認
という順番で考えると整理しやすくなります。
特に土量の多い工事では、土量変化率の取り違えが大きな数量差につながります。
「m³だから同じ数量」と考えず、そのm³が何の状態の土量なのかを確認する癖をつけておきましょう。
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出典・参考資料
この記事では、国土交通省の土木工事に関する積算基準・数量算出要領を参考にしています。
国土交通省|土木工事積算基準関係
土木工事標準積算基準や施工パッケージ型積算基準など、国土交通省の土木工事積算に関する資料が掲載されています。
国土交通省「土木工事積算基準関係」
国土交通省 中国地方整備局|令和8年度 土木工事数量算出要領
掘削、盛土、床掘り、埋戻し、残土等処分などの数量算出方法を確認できます。床掘り・埋戻しに伴う残土量についても、埋戻しの土量変化率Cを考慮して算出する考え方が示されています。
令和8年度 土木工事数量算出要領



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