工事現場では、
「ここに盛土をする」
「盛土を転圧する」
といった言葉がよく出てきます。
でも、初めて聞くと、
「盛土って、ただ土を盛るだけ?」
「土は一気に必要な高さまで盛っていいの?」
と疑問に思うかもしれません。
盛土とは、土を盛り、締め固めながら必要な高さや形の地盤・構造物をつくることです。
道路、河川堤防、土地の造成など、さまざまな土木工事で行われます。
ただ土を積み上げればよいわけではなく、土を一定の厚さで敷き均し、締め固める作業を繰り返しながら施工します。
このとき、**締め固める前に土を敷き均した厚さを「巻き出し厚」**といいます。巻き出し厚と「一層30cm以下」などの仕上り厚は別なので、この記事ではその違いも詳しく解説します。
この記事では、盛土とは何か、どのように施工するのか、巻き出し厚とは何か、積算ではどう扱うのかを初心者向けに解説します。
盛土とは?
盛土とは、土を盛り、締め固めながら必要な高さや形の地盤・構造物をつくることです。
たとえば、道路をつくる場所の地盤が低ければ、土を運んできて盛り、計画した高さまで地盤をつくります。
道路だけでなく、河川堤防をつくったり、低い土地を造成したりするときにも盛土が行われます。
ただし、必要な高さまで土を一気に積み上げるわけではありません。
基本的には、
土を敷き均す → 締め固める → また土を敷く → 締め固める
という作業を繰り返し、一層ずつ盛土を高くしていきます。
道路の盛土では「路体」と「路床」に分かれる
道路の盛土では、位置や役割によって**「路体」と「路床」**に分けて扱います。
簡単に位置関係を示すと、
路床:舗装を支える約1mの土の部分
路体:盛土部のうち路床より下にある部分
です。

同じ道路の盛土でも、路体と路床では役割が違い、使用できる建設発生土や施工条件、積算上の扱いにも違いがあります。
路体と路床の違いや、使用できる土砂、路床盛土の方が積算単価が高くなる理由については、別記事で詳しく解説しています。
路体・路床とは?違いや使える土、路床盛土の積算単価が高い理由を解説
路床の支持力が舗装設計にどう関係するのかを知りたい方は、CBRとは?CBR試験で何がわかる?設計CBR・修正CBR・現場CBRの違いを初心者向けに解説もあわせて読むと、路床の役割を理解しやすくなります。
盛土の巻き出し厚とは?
巻き出し厚とは、締め固める前に土を敷き均したときの厚さです。
盛土は必要な高さまで一気に土を盛るのではなく、一定の厚さで土を敷き均し、ローラなどで締め固める作業を一層ずつ繰り返します。
この締固め前に土を敷き均す作業を「巻き出し」といい、そのときの厚さが「巻き出し厚」です。

巻き出し……なんか、だし巻き卵みたいな名前ですね

食べ物じゃないぞ。締め固める前に土を敷き均すことを“巻き出し”っていうんだ
一度に厚く土を敷きすぎると、ローラなどで表面を転圧しても、下の方まで十分に締め固められないおそれがあります。
そのため、一定の厚さで土を巻き出し、一層ずつ締め固めながら施工します。
「一層30cm以下」は巻き出し厚ではない
ここで、先ほど説明した「路体」と「路床」が関係してきます。
盛土では、**「一層30cm以下」**という数字を目にすることがあります。
国土交通省の土木工事共通仕様書では、路体盛土について一層の仕上り厚を30cm以下、路床盛土については20cm以下として施工することが定められています。
ここで重要なのは、
30cm・20cmは、巻き出し厚ではない
ということです。
これは、締め固めたあとの一層の仕上り厚です。
順番で考えると、
土を巻き出す
↓
ローラなどで締め固める
↓
締固め後の一層を30cm以下(路床は20cm以下)に仕上げる
というイメージです。
土は締め固めると圧縮されるため、仕上り厚を30cmにする場合でも、締固め前の巻き出し厚が30cmになるとは限りません。
つまり、
「一層30cm以下」=「30cmの厚さで土を巻き出す」
ではありません。
実際の巻き出し厚や施工方法は、土質、締固め機械、施工条件、使用する仕様書などを確認して決めます。
初心者はまず、
巻き出し厚=締固め前
30cm・20cmなどの仕上り厚=締固め後
と区別して覚えておくと分かりやすいでしょう。
盛土は、決められた厚さで施工するだけでなく、締固めによって必要な品質が確保されているか確認することも必要です。
道路土工で行う締固め試験や現場密度の確認については、
道路土工の品質管理試験とは?「必須」の試験を初心者向けに解説
で詳しく解説しています。
盛土の積算では「路体盛土」と「路床盛土」がある
公共工事では、盛土の施工場所や条件などによって使用する積算工種が変わります。
代表的なものに、
「路体(築堤)盛土」
「路床盛土」
があります。
名前は似ていますが、積算では別の施工パッケージとして設定されています。
路体盛土と路床盛土の違いや、なぜ路床盛土の方が積算単価が高くなるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
路体・路床とは?違いや使える土、路床盛土の積算単価が高い理由を解説
道路以外の盛土はどう積算する?
「路体(築堤)盛土」という名前を見ると、
「道路の路体や河川の築堤にしか使わないの?」
と思うかもしれません。
しかし、実際の積算では工種名だけで判断するのではなく、積算基準に示された適用範囲や施工条件を確認して使用します。
そのため、道路の路体や河川の築堤以外の盛土でも、施工内容や条件に応じて「路体(築堤)盛土」を使用する場合があります。
一方、路床盛土は道路の舗装を支える路床をつくるための盛土なので、道路工事で使用されるのが基本です。
初心者はまず、
一般的な盛土 → 路体(築堤)盛土が使われることがある
道路の路床 → 路床盛土
というイメージを持っておき、実際の積算では対象工事に適用される積算基準を確認するとよいでしょう。
盛土と埋戻しの違いは?
盛土と混同しやすいのが**「埋戻し」**です。
どちらも土を入れて締め固める作業ですが、目的が違います。
| 用語 | 簡単にいうと | 例 |
|---|---|---|
| 盛土 | 土を盛って必要な高さや形をつくる | 道路を高くする、堤防をつくる |
| 埋戻し | 掘った部分などを土で戻す | 水路を設置したあと周囲を埋める |
作業だけを見ると似ていますが、何のために土を入れているのかを見ると違いが分かりやすくなります。
埋戻しについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ|盛土は一層ずつ締め固めてつくる
盛土とは、土を盛り、締め固めながら必要な高さや形の地盤・構造物をつくることです。
道路だけでなく、河川堤防や土地の造成など、さまざまな土木工事で行われます。
施工するときは、
土を巻き出す → 締め固める → また土を巻き出す → 締め固める
という作業を繰り返し、少しずつ必要な高さまでつくっていきます。
このとき混同しやすいのが、**「巻き出し厚」と「一層の仕上り厚」**です。
巻き出し厚は締固め前の厚さ。一層の仕上り厚は締固め後の厚さなので、同じ数字ではありません。
また、道路の盛土では「路体」と「路床」に分けて扱います。
路体と路床の違いや使用できる土砂、積算上の違いを知りたい人は「路体・路床とは?」の記事で詳しく解説しています。
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出典・参考資料
国土交通省 関東地方整備局|土木工事共通仕様書
路体盛土・路床盛土の施工、一層の仕上り厚などを確認しました。
国土交通省|土木工事積算基準関係
「路体(築堤)盛土」「路床盛土」の施工パッケージ型積算基準について確認しました。
※公共工事の仕様書や積算基準は、発注機関や年度によって内容が異なります。実際の工事・積算では、対象工事に適用される最新の仕様書・積算基準等を確認してください。



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