なんで大雨が降るとマンホールから水があふれるの?「内水氾濫」の仕組みをわかりやすく解説

災害・防災

大雨のニュースで、マンホールから水が噴水のように噴き出している映像を見たことはありませんか?

「なんで地面の下から水が出てくるの?」

と不思議に思うかもしれません。

大雨になると、短時間に大量の雨水が側溝や雨水管などへ流れ込みます。

降ってくる雨の量が街から排水できる量を上回ると、道路に水がたまったり、地下の管の水位が上がったりして、マンホールなどから水があふれることがあります。

また、マンホールから水が噴水のように見える現象には、地下の管にたまった空気が勢いよく抜け、その空気によって路上の雨水が噴き上げられているケースもあります。

川があふれていないのに街に降った雨を排水しきれず、道路や建物が浸水する現象を**「内水氾濫(ないすいはんらん)」**と呼びます。

この記事では、

  • 雨は街のどこへ流れていくのか
  • なぜマンホールから水が噴き出すのか
  • 内水氾濫とはどんな現象なのか
  • なぜ雨水管をもっと大きくして完全に防がないのか

という順番で見ていきます。

雨が降ったら、その水はどこへ行く?

普段はあまり意識しませんが、道路に降った雨はその場にずっと残っているわけではありません。

道路にはわずかな傾きがあり、雨水が端へ流れるように作られています。

流れた雨水は、

道路 → 側溝や集水桝 → 雨水管など → 川や水路など

というように排水されていきます。

道路脇にある側溝や、何気なく踏んでいるマンホールの下にも、街から水を排水するための仕組みが隠れています。


大雨になるとマンホールから水が噴き出すのはなぜ?

側溝や雨水管などが一度に流せる水の量には限りがあります。

短い時間に大量の雨が降ると、降ってくる雨の量 > 排水できる量となり、街から雨水を排水するのが追いつかなくなることがあります。

道路に水がたまり、地下の雨水管などでも水位が上昇します。

その結果、条件によってはマンホールなどから水があふれることがあります。

イメージしやすいのがお風呂です。

排水口から出ていく水よりも、蛇口から入ってくる水の方が多ければ、浴槽の水位は上がっていきます。

街でも、短時間に大量の雨が降ると似たことが起こります。

川の水位が上がって排水できないこともある

もうひとつ関係するのが、雨水を流す先にある川や水路の水位です。

街に降った雨は、雨水管などを通って川や水路へ流されます。

ところが大雨が続いて川の水位が高くなると、街から集めた雨水を川へ流しにくくなることがあります。

大雨が降る
↓
川の水位が上がる
↓
街の雨水を川へ流しにくくなる
↓
雨水管や水路などの水位が上がる
↓
道路などに水があふれる

ということが起こります。

川そのものが堤防を越えていなくても、街に降った雨の行き場がなくなって浸水することがあるわけです。

マンホールから「噴水」のように水が吹き出すのはなぜ?

ここで少し注意したいのが、ニュースなどで見るマンホールから水が勢いよく噴き上がっている現象です。

見た目だけを見ると、「地下の下水がマンホールから勢いよく逆流している」と思うかもしれません。

大雨によって下水道などの排水能力を超えると、地下の水位が上昇し、マンホールから水があふれることはあります。

ただ、噴水のように勢いよく見える現象には、下水道管の中にあった空気が関係していることがあります。

集中豪雨で短時間に大量の雨水が下水道管へ流れ込むと、管の中の水位が急激に上昇し、もともと管内にあった空気が圧縮されます。

その圧縮された空気がマンホールのふたなどから地上へ抜けるとき、道路上にたまっている雨水を一緒に勢いよく噴き上げることがあります。

これが、マンホールから水が噴水のように吹き出して見える原因の一つです。

大雨で道路が冠水しているときは、マンホールのふたが外れたり、ふたが見えなくなったりしている危険もあります。

珍しい現象だからといって、マンホールには近づかないようにしましょう。

川があふれていないのに浸水する「内水氾濫」

街に降った雨を下水道や水路などで排水しきれず、道路や建物などが浸水する現象を内水氾濫といいます。

内水氾濫は、大きく見ると、

  • 短時間に大量の雨が降り、下水道や水路などの排水能力を超える
  • 川の水位が上昇し、街に降った雨を川へ流せなくなる

といった状況で発生します。

そのため、近くの川があふれていなくても道路が冠水することがあります。


新米ちゃん
新米ちゃん

道が水につかった時ってどこかの川があふれているのかと思ってました。

ねこ主任
ねこ主任

川があふれてなくても、一気に雨が降ると街に降った雨を排水しきれなくなるんだ。



一方、川の水が堤防を越えるなどして市街地へ流れ込む氾濫は「外水氾濫」と呼ばれます。


内水=街に降った水を外へ出せない
外水=川から水が街へやってくる

まずはこの違いをイメージできれば十分です。

特に内水氾濫は、川から離れた場所でも発生することがあります。

自宅や職場の周辺にどのような浸水リスクがあるのか知りたい場合は、自治体が公開しているハザードマップなどを確認してみましょう。

「ハザードマップって何?どこで見れる?いざという時のための見方を解説」


道路が冠水していたら不用意に近づかない

大雨で道路が冠水していると、普段なら見えている道路や側溝の位置がわからなくなります。

マンホールのふたが外れていたり、強い水の流れが発生していたりする可能性もあります。

そのため、水があふれているマンホールや冠水した道路には不用意に近づかないようにしましょう。

「水深が浅そうだから大丈夫」と見た目だけで判断するのも危険です。


内水氾濫って、そもそもなくせないの?

ここまで読むと、こんな疑問が出てくるかもしれません。


新米ちゃん
新米ちゃん

だったら、もっと大きな雨水管をつくればいいんじゃないですか?

ねこ主任
ねこ主任

もちろん、浸水を減らすための整備はしているよ。でもね「どんな雨でも絶対に大丈夫」にするのは難しいんだ。

新米ちゃん
新米ちゃん

えっ、全部の雨に対応はできないんですか?


「どんな大雨でも大丈夫」にはできない

実は、側溝や雨水管などは、どんな大雨でも絶対に浸水しないようにつくられているわけではありません。

雨水を流す施設を整備するときには、まず**「どのくらいの雨まで対応するのか」**という目標を決めます。

たとえば、下水道の雨水対策では、

「5年確率の雨」
「10年確率の雨」

といった規模の雨を目標にして整備する考え方があります。

ここでいう「5年確率」は、5年に1回だけ降る雨という意味ではありません。

簡単にいえば、1年間にその規模以上の雨が降る確率が5分の1程度という考え方です。

では、

「100年に1回、1000年に1回という大雨まで全部対応できるようにすればいいのでは?」

と思いますよね。

ところが、大きな雨に対応しようとするほど、雨水管を太くしたり、ポンプ場や雨をためる施設を大きくしたりする必要があります。

そのためには、莫大な費用だけでなく、工事する時間や施設をつくる場所も必要です。

しかも、自然が相手なので「ここまで対策すれば、それ以上の雨は絶対に降らない」という線を引くこともできません。

だからこそ、地域の浸水リスクなどを考えながら**「どの規模の雨まで施設で守るのか」という整備目標を決めて、計画的に対策している**のです。


だから「整備目標」を決めている

行政が何も考えずに雨水管の大きさを決めているわけではありません。

地域の雨の降り方や過去の浸水、土地の使われ方などを考えながら、どのくらいの雨に対応する街を目指すのかを計画します。

そして、

雨水管を整備する
↓
ポンプで川へ排水する
↓
雨を一時的にためる施設を造る
↓
それでも超える雨に備える

というように、いくつもの対策を組み合わせます。


施設だけに頼らない防災も大切

新米ちゃん
新米ちゃん

じゃあ、想定以上の雨が降ったらどうするんですか?

ねこ主任
ねこ主任

そこからが「防災」の大事なところ。施設だけですべてを防ごうとするんじゃなくて、被害を小さくすることも考えるんだ。


どれだけ施設を整備しても、想定を超える雨が降る可能性はあります。

だからこそ、

  • ハザードマップで浸水しやすい場所を知る
  • 大雨の情報を早めに確認する
  • 危険な場所には近づかない
  • 必要なら早めに避難する

といった行動も重要になります。

「行政が水害を全部防ぐ」でもなく、「自分ですべて何とかする」でもありません。

施設を整備する人、情報を出す人、そしてそこに暮らす人。

それぞれができる対策を重ねることで、大雨による被害をできるだけ小さくしていきます。


土木は「絶対に壊れない」を造っているわけではない

道路、川、下水道、堤防。

私たちの身の回りにある土木施設の多くは、想定する条件や目標を決めて計画されています。

これは「手を抜いている」という意味ではありません。

限られた予算や場所の中で、

どこまで施設で守るのか。
それを超えたとき、どうやって被害を減らすのか。

そこまで含めて考えるのが防災です。

次に「過去最大級の大雨」というニュースを見たときは、

「この雨は、街が想定している雨より大きいのかもしれない」

という見方をしてみてください。

その見方があなたの身を守ってくれるかもしれません。

まとめ|マンホールから水が噴き出すのには理由がある

大雨になると、街に降った雨を下水道や水路などで排水しきれなくなることがあります。

その結果、道路に水がたまり、条件によってはマンホールから水があふれることもあります。

また、マンホールから水が噴水のように見える現象には、下水道管内で圧縮された空気が抜ける際に、道路上の雨水を噴き上げているケースもあります。

そして、**川があふれていないのに、街に降った雨を排水しきれず浸水する現象が「内水氾濫」**です。

普段は気にすることのない側溝や集水桝、マンホール、地下の雨水管も、雨の日には街にたまった水を外へ逃がす役割をしています。

大雨のときに道路が冠水していたら、マンホールや側溝の位置が見えなくなっていることもあります。様子を見に近づかず、大雨に関する情報やハザードマップを確認して安全な場所で行動しましょう。

出典

国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部
「雨水管理総合計画策定ガイドライン(案)」(令和3年11月)

国土交通省
「気候変動を踏まえた下水道による都市浸水対策の推進について」

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