施工計画書の項目の中でも、初めて作成すると分かりにくいのが**「施工管理計画」**です。
「施工方法とは何が違うの?」
「出来形管理や品質管理を全部ここに書くの?」
と迷う人もいると思います。
施工方法が**「工事をどのような手順・方法で施工するか」**を整理するものだとすれば、施工管理計画では、施工したものをどのように確認・管理していくかを整理します。
この記事では施工計画書全体ではなく、施工管理計画に絞って、出来形・品質・写真管理などをどう整理するのかを解説します。
特に後半では、
「実際に施工管理計画を作るとき、何から確認すればいい?」
というところまで具体的に見ていきます。
※具体的な管理項目、測定頻度、規格値等は工種や発注機関等によって異なります。実際の工事では、その工事に適用される契約図書、施工管理基準、共通仕様書等を確認してください。
施工管理計画とは?
施工管理計画とは、工事を施工するうえで、
「何を、どのような方法・頻度・基準で管理するのか」
を施工前に整理するものです。
国土交通省の土木工事施工管理基準では、施工管理について工程管理、出来形管理、品質管理などの考え方が示されており、工事写真についても写真管理基準に基づいた管理が求められています。
施工計画書では、工事内容に応じて必要となる管理方法をあらかじめ整理しておきます。

主任、出来形管理とか品質管理って、そんなに大事なんですか?

もちろん大事だよ。完成した構造物が、設計図書などで求められたものになっているか確認するために必要だからね。

完成したときに確認すればいいんじゃないですか?

完成してからじゃ確認できないものもあるんだ。だから施工中から必要な管理をして、その結果を記録しておく必要があるんだよ。
ここから、
出来形管理
品質管理
写真管理
を順番に見ていきましょう。
出来形管理とは?
出来形管理は、簡単に言えば、
「出来上がったものの形や寸法などが、設計どおりになっているか確認する管理」
です。
例えば構造物なら、
- 高さ
- 幅
- 厚さ
- 延長
- 基準高
- 勾配
などを測定することがあります。
ただし、何を測定するか、どのくらいの頻度で測定するか、どの規格値で管理するかは工種によって異なります。
国土交通省の現行の施工管理基準でも、工種ごとに出来形管理の測定項目、規格値などが細かく定められています。

出来形管理って、完成したものを測って確認するってことっすよね?

そうじゃ。例えば構造物の高さや幅、厚さなんかを測って、設計図書どおりに施工できているか確認するんじゃ。

でも実際の現場で出来たものって、設計寸法と1mmでも違ったらアウトなんすか?

必ずしもそういうわけじゃないぞ。出来形管理には、工種や測定項目ごとに**『規格値』**が定められているものがあるんじゃ。

規格値?

簡単にいえば、施工したものが満たすべき出来形の基準じゃな。設計値との差について、プラス側・マイナス側の許容範囲などが定められているんじゃ。

なるほど!出来上がったものの寸法が、その許容範囲に入っているかを確認するんすね。

そういうことじゃ。ただし規格値は工種や測定項目によって違うから、思い込みで判断せず、その工事に適用される施工管理基準を確認することが大事じゃぞ。
施工計画書を作るときには、十分確認する必要があるぞ。
規格値は工種や測定項目によって異なります。また、基準が改定されることもあるため、施工計画書を作成するときは、その工事に適用される最新版の施工管理基準等を確認しましょう。
出来形管理について、規格値や管理方法、具体的な見方まで詳しく知りたい方はこちら。
👉 出来形管理とは?規格値・測定項目・管理方法をわかりやすく解説
品質管理とは?
品質管理は、使用する材料や施工したものが、必要な品質を満たしているか確認する管理です。
例えばコンクリートでは、工事内容や適用基準などに応じて、次のような試験・確認を行います。
- スランプ試験:コンクリートの軟らかさ・施工性を確認
- 空気量測定:コンクリート中に含まれる空気量を確認
- 圧縮強度試験:必要な強度が確保されているか確認
- 塩化物量の確認:コンクリート中の塩化物量を確認
- 単位水量測定:コンクリートに含まれる水量を確認
- コンクリート温度の確認:施工条件等に応じて温度を確認
ここで注意したいのは、「コンクリート工事なら、この項目を確認すればOK」と一律に考えないことです。
必要となる品質管理の項目や試験頻度は、工事内容、施工条件、使用量、適用される基準などによって変わります。
施工計画書を作成するときに適用基準を確認し、今回の工事では何を、どのタイミングで確認するのかを整理しておきます。
発注者側では、書かれている内容だけでなく、この工事に必要な品質管理項目が計画に入っているかも確認します。
国土交通省の施工管理基準では、出来形管理とは別に品質管理の基準が定められています。
ここは、出来形管理との違いを押さえておくと分かりやすいところです。
出来形管理:形や寸法などを確認する
品質管理:材料や施工したものの品質を確認する
構造物の寸法が設計どおりでも、必要な品質まで確保されているとは限りません。反対に、材料の品質に問題がなくても、完成した構造物の寸法が設計図書と違っていれば出来形の確認が必要になります。
施工計画書では、出来形と品質を分けて、それぞれ必要な管理項目を整理します。
品質管理について、出来形管理との違いや品質管理基準の見方まで詳しく知りたい方はこちら。
👉 土木工事の品質管理とは?出来形管理との違いや管理項目をわかりやすく解説
写真管理とは?
工事写真は、施工状況や出来形、品質などを完成検査などで後から確認するための重要な記録になります。
特に土木工事では、施工が進むと見えなくなる部分があります。
例えば、
埋戻し前の構造物
↓
埋戻し
↓
完成
となれば、完成後に掘り返さなければ確認できない部分もあります。
そこで、必要な施工段階で写真を撮影し、施工状況等を記録しておきます。
国土交通省の写真管理基準では、工事写真を施工管理の手段として位置付け、施工段階や完成後に見えなくなる箇所の施工状況、出来形寸法、品質管理状況などを記録する考え方が示されています。

あっ……あそこの写真、撮ってないっす。

もう埋め戻し終わったぞ……。

掘り返します?

そうならんように、施工前に写真管理の内容をしっかり確認するんじゃよ……。
さて、どうするかのぉ……。
工事写真をなぜ撮るのか、何を撮影するのか、撮り忘れを防ぐポイントはこちらで詳しく解説しています。
👉 工事写真とは?写真管理の目的・撮影項目・撮り忘れを防ぐポイントを初心者向けに解説
施工管理計画は「施工する工種」から考えよう
では、実際に施工管理計画を作るときは何から始めればいいのでしょうか。
おすすめなのは、いきなり管理表を作るのではなく、
施工する工種を整理すること
から始める方法です。
例えば、
① 施工方法に記載した工種を確認
↓
② 適用する施工管理基準を確認
↓
③ 必要な出来形管理項目を抽出
↓
④ 必要な品質管理項目を抽出
↓
⑤ 必要な写真管理項目を確認
↓
⑥ 施工管理計画として整理
という順番で考えます。
管理項目だけでなく「頻度」と「基準」も確認しよう
例えば、
「コンクリートの品質管理をします」
だけでは、実際にどう管理するのか分かりません。
施工管理計画を作るときには、適用される基準等を確認して、
何を管理するのか
どこで管理するのか
どの程度の頻度で管理するのか
どの規格値・基準で判断するのか
どのように記録するのか
まで整理しておくことが重要です。
ただし、ここで注意。
管理頻度や規格値を記憶だけで書かない。
施工管理基準は定期的に改定されることがあります。必ず、その工事に適用される最新の資料を確認しましょう。
発注者は施工管理計画のどこを見る?
施工管理計画を確認するときは、単に表が埋まっているかを見るだけではありません。
特に確認したいのが、
「この工事で必要となる管理がちゃんと入っているか」
です。
チェックポイント① 施工する工種が網羅されているか
まず施工方法や設計図書などと施工管理計画を照らし合わせます。
施工方法には記載されているのに、施工管理計画にはその工種がない。
こうした管理項目の抜けがないか確認します。
チェックポイント② 出来形管理項目に漏れがないか
施工する工種について、必要な出来形管理項目が入っているか確認します。
工種だけ見るのではなく、その工種で何を測定する必要があるのかまで確認するのがポイントです。
チェックポイント③ 品質管理項目に漏れがないか

品質管理っていうのは大事なんですか?

もちろん。例えば必要な品質管理項目が計画から抜けていて、現場でも必要な管理が行われていなかったら困るだろう?

完成してから『品質を確認する記録がありません』ってなったら……困りますね。

そういうこと。完成してからでは確認が難しいものもある。だから施工前の段階で、必要な品質管理に漏れがないか確認しておくことが大切なんだ。

完成してから困らないように、施工計画書の段階で確認するんですね!
チェックポイント④ 管理頻度・規格値は適切か
項目が入っていても、それだけでは終わりません。
適用される施工管理基準等と照らし合わせて、
管理頻度
測定箇所
規格値
などが適切に設定されているか確認します。
ここは数字を覚えてチェックするのではなく、適用基準と照合することが重要です。
チェックポイント⑤ 写真管理とつながっているか
出来形・品質管理を行う施工段階では、写真による記録が必要になる場合があります。
特に、施工後に見えなくなる部分は要注意。
施工管理計画と写真管理計画を見比べて、
「測定・試験する → 必要な記録を残す」
という流れができているか確認しましょう。
「前の現場と同じ」で済ませない
施工管理計画も、過去の施工計画書を参考にすることはあるでしょう。
ただし、
「前の工事もこれだったから今回も同じ」
では危険です。
工種、構造、数量、使用材料、施工方法などが変われば、必要な管理内容も変わる可能性があります。

参考にしてるだけっすよ?

そのセリフ、前にも聞いたぞ。
施工管理計画は施工前に確認することが大切
出来形管理や品質管理の中には、施工が終わってからでは確認が難しいものがあります。
だからこそ施工管理計画は、
「完成したときに帳尻を合わせるための表」
ではありません。
施工前に、
何を管理するか
↓
いつ管理するか
↓
どう記録するか
を整理し、実際の施工管理につなげるための計画です。
施工者側は、現場で実際に使える計画になっているか。
発注者側は、必要な管理項目に漏れがないか。
双方が施工前に確認しておくことが重要です。
まとめ|施工方法と施工管理計画をセットで考えよう
施工管理計画では、工事に必要となる出来形管理・品質管理・写真管理などについて、施工前に整理します。
大切なのは、管理表を埋めることではありません。
まず施工する工種を確認して、
施工方法
↓
出来形管理
↓
品質管理
↓
写真管理
をつなげて考えることです。
施工者側は、実際の現場で管理できる計画になっているか。
発注者側は、施工内容に対して必要な管理項目が漏れていないか。
完成してから「確認できません」とならないよう、施工前の段階で確認しておきましょう。
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参考資料・出典
本記事の作成にあたっては、国土交通省および地方整備局が公開している土木工事施工管理基準、出来形管理基準及び規格値、品質管理基準及び規格値、写真管理基準等を参考にしています。
国土交通省 関東地方整備局「土木工事共通仕様書・施工管理基準等」
写真についても独立した基準があるので、必要ならこちらも。



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