コンクリート工事の現場では、
「今日はここまでコンクリートを打って、続きは明日」
というように、何回かに分けてコンクリートを施工することがあります。
このように、**先に施工して固まったコンクリートに、新しいコンクリートを続けて打つことを「打継ぎ(うちつぎ)」**といいます。
打継ぎでよく出てくるのが、
「打継目」「レイタンス」「チッピング」「コールドジョイント」
という言葉です。
初めて聞くと何のことか分かりにくいですが、一連の施工として考えるとそれほど難しくありません。
この記事では、実際の施工の流れを追いながら、それぞれの言葉を初心者向けに解説します。
コンクリートの「打継ぎ」とは?
たとえば、大きなコンクリート構造物を2日間に分けて施工するとします。
1日目に下側のコンクリートを施工します。
翌日には、1日目のコンクリートはすでに固まっています。その上から2日目の新しいコンクリートを施工します。
このように、**すでに固まったコンクリートに、新しいコンクリートを接して打つことが「打継ぎ」**です。
そして、古いコンクリートと新しいコンクリートの境界を**「打継目(うちつぎめ)」**といいます。
「打重ね」と「打継ぎ」は違う
似た言葉に**「打重ね(うちかさね)」**があります。
打重ねとは、先に入れたコンクリートがまだ固まらないうちに、その上へ続けてコンクリートを入れることです。
たとえば、コンクリートを50cm入れ、その上へさらに50cm入れながら一つの構造物をつくっていくような施工です。
一方の打継ぎは、先に施工したコンクリートが固まったあとに、新しいコンクリートを打つことです。
打重ねでは、先に打ち込んだコンクリートが固まる前に次のコンクリートを打ち込み、バイブレータで上下の層が一体になるように締め固めます。
コンクリートを層に分けて打つ方法や、バイブレータの使い方は、「コンクリートの打込み・締固めとは?」で詳しく解説しています。
なぜわざわざコンクリートを途中で止めるの?
「境目ができるなら、最初から全部まとめて施工すればいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、大きな構造物になると、一度にすべてのコンクリートを施工できないことがあります。
たとえば大きな橋台なら、下から上まで一度にコンクリートを入れるのではなく、何回かに分けて施工することがあります。
構造物の大きさや形、1日に施工できるコンクリートの量、型枠の施工順序などを考えて、あらかじめ施工を区切るわけです。
そのため、打継目があること自体が施工ミスなのではありません。
どこで打ち継ぐのかを計画し、その境目を適切に処理することが重要になります。
コンクリートを何回かに分けて施工する場合は、どこまでを1回で打ち、どこで打ち継ぐのかを施工前に検討します。
構造物の形や大きさ、1回に打ち込むコンクリート量、施工順序などを考えて打込みを計画します。
打継目は施工しやすさだけで自由に決めるのではなく、構造物の性能に悪影響を与えない位置とする必要があります。
固まったコンクリートの上に、そのまま打ってはいけない
ここからが打継ぎ施工で重要なところです。
前回のコンクリートが固まったからといって、その上へすぐに新しいコンクリートを流し込むわけではありません。
国土交通省の土木工事共通仕様書では、新しいコンクリートを打つ前に、古いコンクリート表面にある、
レイタンス
緩んだ骨材
品質の悪いコンクリート
ゴミなどの雑物
を取り除き、古いコンクリートに吸水させることが定められています。
ここで初心者には聞き慣れない「レイタンス」という言葉が出てきます。
レイタンスとは?
レイタンスとは、簡単にいうと、コンクリートを打ったあと、表面付近にできる弱い層です。
生コンクリートを打つと、内部にある水の一部が表面へ上がってくることがあります。
この現象を**「ブリーディング」**といいます。
このとき、セメントなどの細かな粒子も表面付近へ移動し、弱い層ができることがあります。
これがレイタンスです。
レイタンスを残したまま次のコンクリートを打つと、
新しいコンクリート
↓
弱いレイタンスの層
↓
古いコンクリート
となってしまいます。
新旧のコンクリートを良好に一体化させるためには、この弱い部分が邪魔になります。
そのため、新しいコンクリートを打つ前にレイタンスなどを取り除きます。
レイタンスはどうやって処理するの?
「レイタンスを除去する」といっても、手で簡単にはがすという意味ではありません。
打継面の状態に応じて、ワイヤブラシでこする、高圧の水で洗い流す、工具で表面を削るなどの方法で、表面にある弱い部分を取り除きます。
たとえば、次のような方法があります。
- ワイヤブラシ:金属製の硬いブラシで表面をこすり、弱い部分を取り除く
- 高圧水:強い勢いで水を吹き付け、レイタンスや緩んだ部分を取り除く
- チッピング:工具で固まったコンクリートの表面を少しずつ削ったり、たたいたりして取り除き、表面をデコボコにする
チッピングなどによってコンクリートの表面を意図的にデコボコにすることを、現場では**「目荒らし」**と呼ぶこともあります。
打継面はどんな順番で処理する?
ここまでの話を、実際の施工の流れで整理してみます。

① 打継面を確認する
まず、すでに固まったコンクリートの打継面がどのような状態になっているかを確認します。
表面にはレイタンスのほか、緩んだ骨材やコンクリート片、泥、ゴミなどが残っていることがあります。
② レイタンスなどを取り除く
レイタンス、緩んだ骨材、品質の悪いコンクリート、雑物などを取り除きます。
施工条件や打継面の状態に応じた方法で処理します。
③ 必要に応じて表面を粗くする
必要な場合には、ワイヤブラシで表面を削ったり、チッピングなどで表面を粗くしたりします。
次に打つコンクリートと適切に打ち継げる状態にするための処理です。
④ 打継面をきれいにする
処理したあとに、削ったコンクリート片やゴミなどを残さないようにします。
せっかくレイタンスを除去しても、打継面に削りカスなどが残っていては意味がありません。
⑤ 古いコンクリートに吸水させる
新しいコンクリートを打つ前には、古いコンクリートへ十分に水を吸わせます。
国土交通省の土木工事共通仕様書でも、硬化したコンクリート表面のレイタンスなどを取り除いたうえで、吸水させることが定められています。
⑥ 新しいコンクリートを打つ
打継面の準備ができたら、新しいコンクリートを打ち込みます。
コールドジョイントとは?打込みの間隔が空くとできる境目
コンクリートの施工でもう一つ知っておきたいのが、**「コールドジョイント」**です。
コールドジョイントとは、コンクリートを続けて打ち込んでいる途中で時間が空き、先に打ったコンクリートと後から打ったコンクリートが十分に一体化しなかった部分のことです。
たとえば、コンクリートを順調に打ち込んでいたところ、生コン車の到着が遅れたとします。
その間にも、先に打ったコンクリートは少しずつ固まり始めます。
コンクリートが時間の経過とともに固まり始めることを**「凝結(ぎょうけつ)」**といいます。
凝結が進んでから次のコンクリートを打ち込むと、新旧のコンクリートが十分に一体化せず、境目が残ることがあります。これがコールドジョイントです。

コールドジョイントができると何が問題?
コールドジョイントが問題になるのは、見た目に線ができるからだけではありません。
境目が弱い部分になることで、水が入りやすくなったり、構造物の耐久性や水密性などに影響したりするおそれがあります。
水密性とは、コンクリートの中へ水を通しにくい性質のことです。
特に水をためる構造物などでは、コンクリートの境目から水が通ることは避けたいところです。
コールドジョイントを防ぐには?
基本は、先に打ったコンクリートが固まりすぎる前に、次のコンクリートを打ち重ねることです。
そのためには、コンクリートを打ち始めてから考えるのではなく、事前の施工計画が重要になります。
たとえば、
- 何台の生コン車が必要か
- 生コン車がどのくらいの間隔で到着するか
- 1時間にどのくらい打ち込むか
- どの順番でコンクリートを打つか
- 作業員を何人配置するか
- ポンプ車などの施工機械に問題が起きた場合にどうするか
などをあらかじめ検討します。
また、施工中も先に打ったコンクリートから次のコンクリートを打ち重ねるまでの時間を管理します。
この時間を**「打重ね時間間隔」**といいます。
コールドジョイント対策は、「境目ができたあとに直す」というより、境目ができないように打込みを計画・管理することが基本です。
コールドジョイントを防ぐには、打重ね時間間隔だけでなく、打込み順序や一層の高さ、バイブレータによる締固めなども含めて施工を考える必要があります。
実際の打込みから締固めまでの流れは、「コンクリートの打込み・締固めとは?」で確認できます。
まとめ|打継ぎは「どこで分け、どう処理するか」を施工前に考える
コンクリートの打継ぎとは、すでに施工して固まったコンクリートに、新しいコンクリートを続けて打つことです。
大きな構造物では、コンクリートを一度ですべて打ち込めないこともあります。そのため、施工前にどこまでを1回で打ち、どこで打ち継ぐのかを計画しておきます。
次のコンクリートを打つときは、古いコンクリートの表面にできた**レイタンスや緩んだ骨材、ゴミなどを取り除き、打継面をきれいな状態にします。**必要に応じて表面を粗くする処理も行いますが、打継ぎのたびに必ずチッピングするわけではありません。
また、一連のコンクリート打込み中に時間が空き、先に打ったコンクリートの凝結が進むと、コールドジョイントが発生する原因になります。
そのため施工前には、生コン車の配車や打込み順序、施工能力などを確認し、施工中は打重ね時間間隔を管理します。
打継ぎの施工を見るときは、
「どこで打ち継ぐのか」
「打継面は適切に処理されているか」
「次のコンクリートを打つまでの時間は管理されているか」
この3つを意識すると、現場で何を確認しているのかが分かりやすくなります。
コンクリートは打込みが終わったあとも、必要な強度や耐久性を確保するために適切な温度や水分を保つ必要があります。次の施工段階となる「コンクリートの養生とは?」もあわせて確認しておくと、打込み後の流れまで理解できます。
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出典・参考資料
国土交通省|令和8年度 土木工事共通仕様書 第1編 共通編 第3章 第6節 運搬・打設
打継目を設ける位置の原則、レイタンス・緩んだ骨材等の除去、吸水、ワイヤブラシやチッピング等による打継面処理について確認しました。
国土交通省 四国地方整備局|監督職員のためのコンクリート工事ポケットブック(案)
コールドジョイントが発生する仕組みと、その防止に必要な打重ね時間間隔の考え方について確認しました。



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