施工計画書を作成するとき、意外と悩むのが「施工方法」です。
「施工手順を書けばいいの?」
「どこまで詳しく書く?」
「前の工事の施工計画書を参考にしても大丈夫?」
初めて作成する場合は、このあたりで手が止まりやすいかもしれません。
施工方法には、単に一般的な工法を書くのではなく、その現場でどのような方法・手順で施工するのかを記載します。
同じ工種でも、現場条件や使用する機械、施工する順序などは工事によって変わります。そのため、過去の施工計画書をそのまま使うと、実際の現場と内容が合わなくなることもあります。
この記事では、施工計画書の「施工方法」について、施工者は何をどう書けばいいのか、発注者はどこを確認するのかという両方の視点から解説します。
※施工計画書に求められる内容は、発注機関や工事に適用される仕様書等によって異なる場合があります。実際の作成・提出にあたっては、各工事の契約図書、特記仕様書、共通仕様書等をご確認ください。
施工計画書の「施工方法」とは?
施工方法は、工事を実際にどのような手順・方法で施工するのかを整理する項目です。
国土交通省の地方整備局が公開する施工管理関係資料では、主要工種について作業フローを示し、工事箇所の作業環境や施工時期、施工上の留意事項・制約条件、使用予定機械などを整理する考え方が示されています。
つまり、例えば、
「バックホウで掘削する」
とだけ書けば十分、というわけではありません。
どのような順序で施工するのか、どんな機械を使用するのか、現場にはどんな制約があるのか――。
実際の施工をイメージできる内容にしていくことがポイントです。

施工方法って、前の現場と同じような工事なら同じ内容でいいっすよね?

じゃあ若柴よ。前の現場も、作業スペースや周辺状況までまったく同じだったか?

……そこは違いますね。

じゃろ。**同じ工種でも、現場条件が変われば施工方法も変わる。**今回の現場でどう施工するかを考えて作るんじゃ。
過去の施工計画書を参考にする場合も、今回の現場条件に合った施工方法になっているか確認することが重要です。
施工方法には何を書く?
施工方法を考えるときは、いきなり長い文章を書こうとする必要はありません。
まずは、次のような項目について整理してみましょう。
| 確認したい内容 | 考えることの例 |
|---|---|
| 作業フロー | どのような順序で施工するか |
| 現場条件 | 周辺環境、近接構造物、埋設物など |
| 施工方法 | 各作業をどのような方法で行うか |
| 使用機械 | どのような建設機械を使用するか |
| 制約条件 | 作業時間、施工時期、施工スペースなど |
| 仮設備 | 仮設道路、仮排水、仮置場など |
| 関係機関との調整 | 道路、河川、占用物件等との調整 |
| 施工上の留意点 | その現場で特に注意すること |
もちろん、すべての工事でこの表の内容をそのまま書けばよいという意味ではありません。
重要なのは、その工事の施工に必要となる情報を整理することです。
まずは「作業フロー」を作ってみよう
「施工方法を何から書けばいいか分からない」という場合は、最初に作業フローを考えると整理しやすくなります。
例えば、単純化した掘削作業なら、
施工前確認
↓
位置・高さの確認
↓
掘削
↓
土砂の積込み
↓
運搬
↓
仕上がりの確認
というように、まず施工の流れを並べます。
そして、それぞれの作業について、
- どのような方法で施工する?
- どの機械を使う?
- 施工するときの注意点は?
- 現場特有の制約はある?
と考えていきます。

最初から文章を書こうとするから、何を書けばいいか分からなくなるんすね。

そうじゃ。まず施工の順番を並べて、それから一つずつ考えていけばええ。
作業フローを先に作ることで、施工方法の抜けや施工順序の矛盾にも気付きやすくなります。
現場条件を施工方法に反映しよう
同じ工種であっても、現場が変われば施工条件は変わります。
例えば同じ掘削工でも、
- 住宅地に近い
- 地下埋設物がある
- 河川内で施工する
- 道路上で交通規制が必要
- 作業スペースが狭い
- 近接する構造物がある
といった条件によって、使用する機械や施工手順、安全対策などが変わる可能性があります。
そのため施工方法を考えるときは、
「この工種は一般的にどう施工するか」
だけではなく、
「この現場ではどう施工するのか」
まで考えることが重要です。
過去の施工計画書を参考にする場合も、ここを忘れてはいけません。
使用する機械と施工方法が合っているか確認する
施工方法では、使用する建設機械との整合性も確認しましょう。
例えば、
「その作業スペースに計画した機械が入れるのか?」
「必要な作業半径を確保できるのか?」
「その施工方法に適した機械なのか?」
といったことです。
施工計画書の別項目に記載した主要機械と、施工方法に登場する機械が食い違っていないかも確認したいところです。
施工方法だけを単独で考えるのではなく、施工計画書全体の内容をつなげて考えることが大切です。
図や写真を使うと施工方法は伝わりやすい
施工方法は、文章だけで説明しなければならないわけではありません。
複雑な施工方法では、
- 位置図
- 平面図
- 断面図
- 施工ステップ図
- 機械配置図
- 仮設備の配置図
などを使った方が、施工方法を分かりやすく説明できる場合があります。
特に、機械の配置や施工範囲、仮設備などは、文章だけではイメージしにくいことがあります。
施工計画書は「文章をたくさん書くこと」が目的ではなく、施工内容が相手に伝わることが大切です。
ただし、設計図書等の図面を使用・加工する場合は、必要な情報が正しく伝わるように注意しましょう。
前の工事の施工計画書を参考にしてもいい?
過去の施工計画書を参考にすること自体は問題ありません。
同じような工種であれば、施工手順や使用機械など、参考にできる部分も多くあります。
ただし、そのまま使えるとは限りません。
例えば同じ水路工事でも、
- 道路幅が狭い
- 住宅が近い
- 地下埋設物がある
- 交通規制が必要
- 使用できる重機が限られる
など、現場によって施工条件は変わります。
過去の施工計画書を参考にするときは、**「今回の現場でもこの内容で施工できるか」**を一つずつ確認してみてください。
前の現場では問題なかった施工方法でも、現場条件が変われば、そのまま使えないことがあります。件と照らし合わせながら、一つずつ確認することが重要です。
発注者は施工計画書のどこを見る?

主任、施工計画書って全部細かくチェックする必要があるんですか?

もちろん必要な確認はしないといけないよ。
ただ、何となく文章を追うんじゃなくて、まず重要なポイントを押さえて確認すると分かりやすいよ。
発注者側のチェックポイント① 設計図書と整合しているか
まず確認したいのが、設計図書等との整合性です。
例えば、設計図書等で施工条件や使用材料、工法などが示されている場合、それらと施工計画書の内容に矛盾がないか確認します。
施工計画書だけを単独で読むのではなく、必要に応じて関連する設計図書等と照らし合わせることが重要です。
発注者側のチェックポイント② 現場条件が反映されているか
次に、その現場特有の条件が施工方法に反映されているか確認します。
例えば、
地下埋設物があるのに、その影響について触れられていない。
住宅地に近いのに、周辺への影響について検討されていない。
狭い現場なのに、大型機械を使用する計画になっている。
といった場合は、実際の現場条件と施工計画に食い違いがないか確認する必要があります。
発注者側のチェックポイント③ 作業フローと施工方法がつながっているか
作業フローと、具体的な施工方法の内容も確認します。
作業フローにはあるのに施工方法の説明がない作業がないか。
逆に、施工方法には書かれているのに、工程上どこで行うのか分からない作業がないか。
「施工する順番」と「施工する方法」がつながっているかを見ると、施工計画全体を理解しやすくなります。
発注者側のチェックポイント④ 使用機械に無理がないか
使用する建設機械についても、
- 現場に進入できるか
- 作業スペースを確保できるか
- 施工方法に適しているか
- 他の記載項目と矛盾していないか
などを確認します。
特に施工スペースが限られる現場では、図面上だけではなく実際の現場をイメージして確認することも大切です。
発注者側のチェックポイント⑤ 施工管理計画に漏れがないか
施工方法を確認するときは、その施工に必要な管理項目が施工管理計画に反映されているかも確認したいポイントです。
施工方法には、
「何を、どのような手順で施工するのか」
が書かれています。
一方、施工管理計画では、その施工について出来形や品質などをどのように確認・管理するのかを整理します。
そのため、施工方法を読んだら、
- この施工で必要になる出来形管理は入っているか
- 必要な品質管理は計画されているか
- 管理する項目や頻度などに漏れはないか
- 適用する施工管理基準等と整合しているか
といった視点で、施工管理計画もあわせて確認します。
例えば、施工方法には複数の工種が記載されているのに、そのうち一部の工種について出来形管理や品質管理の項目が抜けている場合は注意が必要です。

この出来形管理と品質管理っていうのは大事なんですか?

もちろん大事だよ。工事が完成したら、出来形や品質が設計図書などで求められたものになっているか確認して、完成検査を受けることになるからね。

ここを確認しておかないとどうなるんですか?

例えば、必要な品質管理項目が施工管理計画から抜けていて、現場でも必要な管理が行われていなかったらどうなると思う?

完成してから『品質を確認するための記録がありません』ってなったら……困りますね。

そういうこと。完成してからでは確認が難しいものもあるからね。だから発注者側も、施工前の段階で必要な出来形管理や品質管理に漏れがないか、しっかり確認しておくことが大切なんだ。
発注者が施工方法を決めてしまわない
施工計画書を確認していると、
「こっちの方法で施工した方がいいのでは?」
と思うこともあります。
そんなときも、まず確認したいのは、受注者が示した施工方法が契約図書や現場条件と合っているかという点です。
施工方法を考えて実際に施工するのは受注者です。発注者が自分の考えた方法をそのまま求めてしまうと、受発注者それぞれの役割が曖昧になってしまいます。
施工方法に疑問があれば、「こう施工してください」と答えを示すのではなく、何が問題なのかを契約図書や現場条件と照らし合わせて確認します。必要な事項は、そのうえで受発注者間で協議・確認していきます。
施工計画書を見るときは、**「自分ならどう施工するか」ではなく、「受注者の計画で適切に施工できるか」**という視点を持っておくと、確認するところが見えやすくなります。
施工計画書に書いた施工方法と実際の現場を一致させよう
施工計画書は、提出して終わりではありません。
国土交通省の土木工事共通仕様書(案)では、受注者は施工計画書を遵守して工事の施工に当たることが示されています。
施工計画書に書いた内容
↓
実際の施工
この2つが食い違わないように、施工計画書を作成する段階から実際の現場をイメージしておく必要があります。
もちろん、工事が始まってから現場条件が変わり、当初の方法では施工できなくなることもあります。その場合は、変更内容や適用される仕様書等を確認し、必要な対応を行います。
施工方法を書くときは、**「本当にこの内容で施工できるか?」**と一度考えてみてください。
書類のためだけの施工方法になっていないかを見直すきっかけになります。
まとめ|「この現場でどう施工するか」を書こう
施工方法には、**「この現場で、どのような条件のもと、どんな順序・方法で施工するのか」**が分かるように記載します。
何から書けばいいか迷ったら、最初に作業の流れを書き出してみると整理しやすくなります。
現場条件 → 施工手順 → 使用機械 → 施工上の留意点 → 仮設備
この順に考えていけば、その現場で必要な施工方法が見えてきます。
発注者側では、文章の量や細かさだけで判断せず、設計図書、現場条件、施工方法、ほかの施工計画に食い違いがないかを確認します。
施工者が実際にその計画で工事を進められるか。発注者が施工内容を確認できるか。
そこまで考えて作られた施工計画書なら、提出後も現場で使える書類になります。
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参考資料・出典
本記事の作成にあたっては、国土交通省および地方整備局が公開している土木工事共通仕様書・工事書類作成マニュアル等を参考にしています。



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