施工計画書の環境対策、「周辺に配慮する」でヨシ?|騒音・振動・粉じん・濁水対策を解説

現場・施工管理

土木工事では、安全や品質だけでなく、周辺環境への影響をできるだけ小さくすることも重要です。

工事現場では、重機やダンプトラックが動き、地面を掘削したり、コンクリートを施工したりします。

そのため、工事の内容によっては、

  • 騒音・振動
  • 粉じん
  • 濁水・排水
  • 工事車両による影響
  • 建設副産物
  • 周辺の生活環境や自然環境への影響

などについて対策が必要になります。

とはいえ、初めて工事を担当する人にとっては、

「環境対策って具体的に何をすればいいの?」

というところから分かりにくいと思います。

この記事では、土木工事における環境対策の基本的な考え方から、施工計画書での整理方法、発注者側の確認ポイントまで初心者向けに解説します。

※必要となる環境対策は、工事内容、施工場所、周辺環境、関係法令、設計図書等によって異なります。実際の工事では、その工事に適用される条件を確認してください。


そもそも土木工事の「環境対策」って何?


新米ちゃん
新米ちゃん

安全管理は分かるんですけど、環境対策って何を守るんですか?

ねこ主任
ねこ主任

例えば住宅のすぐ横で、一日中大きな音や振動を出して工事したらどうかな?

新米ちゃん
新米ちゃん

近所の人は困りますね……。

ねこ主任
ねこ主任

そういう工事による周辺への影響をできるだけ小さくするのも大切な仕事なんだ。


土木工事は、何もない場所だけで行われるわけではありません。

住宅や店舗の近くで施工することもあれば、道路を利用して工事車両が出入りしたり、河川の近くで施工したりすることもあります。

工事そのものが問題なく施工できても、周辺に大きな影響を与えてしまっては適切な施工とはいえません。

そのため施工前に、

「この工事をすると、周囲にどんな影響が出る可能性があるか?」

を考え、それに応じた対策を計画しておくことが重要です。


環境対策は「工事によって何が起きるか」から考える

環境対策というと、最初から法律や基準を調べたくなるかもしれません。

もちろん法令等の確認は重要ですが、初心者の場合はまず、

この工事をすると、周囲に何が起きそうか?

と考えると分かりやすくなります。

例えば、住宅地の近くでバックホウによる掘削を行うとします。

すると、

重機を動かす
→ 騒音・振動は大丈夫か?

土砂を掘削する
→ 粉じんや土砂の飛散はないか?

ダンプで土砂を運搬する
→ 道路を汚さないか?周辺交通に影響しないか?

雨が降る
→ 濁った水がそのまま流出しないか?

といったように、施工方法から周辺への影響を考えることができます。

つまり環境対策も、安全管理と同じように、現場条件と実際の施工をイメージすることが出発点です。


土木工事ではどんな環境対策をする?

必要な環境対策は工事によって異なります。

ここでは、土木工事で考えることの多い代表的なものを見ていきましょう。

騒音対策

工事では、建設機械の稼働や作業そのものによって騒音が発生することがあります。

周辺に住宅や学校、病院などがある場合は、特に注意が必要です。

対策としては、例えば、

低騒音型建設機械の使用、作業時間への配慮、機械の配置や作業方法の検討

などが考えられます。

重要なのは、単に、

「騒音に十分注意して施工する」

で終わらせないことです。

何から騒音が発生するのかを考え、現場条件に応じた具体的な対策を検討することが大切です。


振動対策

掘削や締固め、杭施工、建設機械の走行などによって、振動が発生することがあります。

特に住宅や既設構造物などが近い現場では、周辺への影響を考える必要があります。

施工方法や使用機械、作業時間などを検討し、必要に応じた対策を計画します。

また、工事内容によっては施工前に周辺状況を確認しておくことも重要です。


粉じん・土砂の飛散対策

土砂を扱う工事では、乾燥した時期などに粉じんが発生することがあります。

また、工事車両が現場から土砂を付着させたまま道路へ出ると、周辺道路を汚してしまうこともあります。

例えば、

散水による粉じんの抑制、シート等による飛散防止、工事車両のタイヤ洗浄、道路清掃

などが対策として考えられます。


濁水・排水対策

掘削した場所に雨水や地下水がたまった場合、その水をどこへ排水するのかも考える必要があります。

泥が混じった水を、そのまま周辺へ流せばよいとは限りません。

工事内容や現場条件に応じて、

沈砂・ろ過などによる濁りへの対策や、適切な排水方法

を検討します。


若柴くん
若柴くん

水がたまったんで、そのままポンプで側溝に流しちゃいますね。

おっしばさん
おっしばさん

待て若柴。その水、ずいぶん濁っとらんか?

若柴くん
若柴くん

まあ……泥水っすね。

おっしばさん
おっしばさん

その側溝の水が河川に流れたらどうなると思う?

若柴くん
若柴くん

川も濁る……あ、魚とかにも影響するかもしれないっすね。

おっしばさん
おっしばさん

現場から水を出すだけじゃなく、その先の環境まで考えて排水するんじゃ。


工事現場だけを見ていると、つい「現場から水をなくすこと」が目的になってしまいます。

しかし環境対策では、現場の外へ出たあとにどのような影響があるのかまで考えることが重要です。


工事車両による周辺への影響

土木工事では、ダンプトラックや資材運搬車など、多くの工事車両が出入りすることがあります。

そのため、

通行ルート、出入口、通勤・通学時間帯、一般交通への影響、道路の汚れ

などにも注意が必要です。

特に住宅地や学校周辺などでは、現場の中だけでなく、工事車両がどこを通って現場へ来るのかまで確認しておきましょう。


建設副産物への対応

工事では、建設発生土やコンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊などの建設副産物が発生することがあります。

これらについても、

何が発生するのか、どのくらい発生するのか、どのように分別・運搬・処理するのか

を工事内容に応じて整理します。

なお、建設副産物がすべて「廃棄物」というわけではありません。例えば建設発生土は、廃棄物処理法上の廃棄物には該当しません。

建設副産物については、種類によって取り扱いや確認すべき内容が異なるため、工事ごとに適用される基準や処理方法を確認することが重要です。


すべての工事で同じ環境対策をするわけではない

ここは初心者が特に注意したいポイントです。

例えば、

「環境対策=騒音・振動・粉じん・濁水を全部書けばOK」

というわけではありません。

住宅地での道路工事と、河川内の工事では、周辺環境も発生する影響も違います。

そのため、

① どんな工事をするのか
↓
② 周囲には何があるのか
↓
③ 工事によってどんな影響が考えられるのか
↓
④ その影響をどう抑えるのか

という順番で考えると整理しやすくなります。

対策を先に考えるのではなく、まず「この現場では何が問題になりそうか」を考えることがポイントです。


施工計画書には具体的な環境対策を書く

施工計画書を作成するときも、

「周辺環境に十分配慮して施工する」

だけでは、実際に何をするのか分かりません。

例えば粉じんが問題になりそうなら、

「粉じんに注意する」

ではなく、

どの作業で粉じんが発生する可能性があり、それに対してどのような方法で抑えるのか

まで考えます。

環境対策は、きれいな言葉を書くためのものではありません。

現場で実際に行える対策になっているかが重要です。


発注者は環境対策のどこを見る?

発注者が施工計画書を確認するときも、

「環境対策という項目が書いてあるからOK」

ではありません。

今回の工事に合った内容になっているか確認することが重要です。

チェックポイント① 現場条件を把握しているか

まず、工事箇所の周辺に何があるのか確認します。

住宅、学校、店舗、河川、既設構造物、交通量の多い道路など、工事による影響を受ける可能性があるものを把握します。

チェックポイント② 施工方法と環境対策がつながっているか

次に、実際の施工方法から発生する可能性のある影響を考えます。

大型機械を使用するのに騒音・振動について何も検討されていない。

土砂を大量に運搬するのに工事車両への対策がない。

排水が必要なのに濁水への検討がない。

このように、施工方法と環境対策を照らし合わせることで、対策の漏れを見つけやすくなります。

チェックポイント③ 対策が具体的か

「十分注意する」「周辺環境に配慮する」だけになっていないか確認します。

重要なのは、

誰が読んでも、現場で何をするのかイメージできること。

必要に応じて、使用機械、施工方法、作業時間、飛散・流出防止方法などが具体的に検討されているか確認します。

チェックポイント④ 現場で実施できる内容か

施工計画書に立派な対策が書かれていても、現場で実施されなければ意味がありません。

また、施工中に現場条件が変わったり、当初想定していなかった影響が確認されたりすることもあります。

計画した対策が現場で実施されているか、現場の状況に応じて追加の対応が必要になっていないかも確認していきましょう。


環境対策で大切なのは「現場の外」を想像すること

土木工事の環境対策では、工事によって発生する騒音・振動・粉じん・濁水など、周辺への影響をできるだけ小さくすることが重要です。

初心者の場合、最初からすべての対策を覚える必要はありません。

まずは、

どんな工事をする?
↓
周囲には何がある?
↓
どんな影響が起こりそう?
↓
どうやって影響を小さくする?

という順番で考えてみましょう。

そして発注者側では、環境対策の項目だけを見るのではなく、現場条件や施工方法と照らし合わせて、本当に必要な対策が計画されているか確認することがポイントです。

環境対策は、

**「周辺環境に十分配慮する」

と書いて終わりではありません。**

工事によって何が起こるかを想像し、現場に合った具体的な対策につなげる。

これが環境対策を考える基本です。


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出典・参考資料

本記事は、国土交通省・環境省が公表している資料等を参考に、土木工事における環境対策の基本的な考え方を初心者向けに整理したものです。

工事内容や施工場所によって適用される法令・基準・必要な対策は異なるため、実際の工事では設計図書や関係法令、各自治体の基準等を確認してください。

騒音規制法では、指定地域内で行われる一定の建設作業について規制や届出が定められており、振動についても特定建設作業を対象とした規制があります。

また国土交通省では、建設発生土やコンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設汚泥などを「建設副産物」として整理し、適正処理や再資源化に関する資料を公開しています。

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